台湾の半導体市場動向調査会社であるTrendForceが、DRAMサプライヤによる継続的な減産により、DRAM全体の供給量が四半期ごとに徐々に減少しており、第3四半期のDRAMの平均販売価格(ASP)は、前四半期比0~5%減程度となるとの予測を発表した。

DRAMサプライヤは各社ともに生産調整を進めているが、在庫水準は高止まりが続いており、価格は下がったままで、TrendForceでは、目に見える価格の回復は2024年まで見られない可能性があるとしている。

  • DRAMのカテゴリ別平均販売価格の前四半期比増減率

    DRAMのカテゴリ別平均販売価格の前四半期比増減率 (出所:TrendForce、2023年7月)

カテゴリ別にみると、PC DRAMについては、DRAMサプライヤ大手3社(Samsung Electronics、SK hynix、Micron Technology)のDDR4の減産効果は第3四半期に出てくると見られているが、依然として供給過剰気味で2023年第3四半期の価格下落率は同3~8%減ほどと予想される。また、DDR5の価格も同0~5%減と予想され、PC DRAM全体のASPも同0~5%減と予想している。

サーバDRAMについては、購買側の在庫が高止まっており、新しいプラットフォームへの移行も期待を下回る状況となっている。最近のCSP(クラウド・サービス・プロバイダ)はAIサーバ機器に投資を集中しており、DDR5 128GBやHBMなどの大容量サーバDRAMの調達を強化しているものの、全体的な在庫の減少にはそこまで貢献できておらず、第3四半期のDDR4の価格は同約3~8%減、DDR5は同約0~5%減と価格下落が継続。サーバDRAM全体の平均価格も同約0~5%減となると予想している。

モバイルDRAMについては、スマートフォン(スマホ)が繁忙期を迎えるため、需要の増加が期待されるが、DRAMサプライヤの在庫レベルは限定的に引き下げ留まると見られている。一方で、すでに価格下落が数四半期にわたって行われてきたため、これ以上の引き下げは難しい状態にまで達しており、買い手と売り手のアンマッチが生じているという。そのため、同四半期のASPは同0~5%減と予想されるとするが、サプライヤの戦略的な動きにより、散発的に価格が上昇する可能性もあるという。

グラフィックスDRAMについては、NVIDIA RTX 40シリーズを中心にピークシーズンを迎えることもあり、GDDR6 16Gビット品を中心に需要が増加することが予想されている。しかし、すでに購入側が第2四半期に在庫を積み上げていることから、サプライヤの価格引き上げは限定的となる可能性がある。そのためGDDR6 16Gビット品のASPは同0~5%減、グラフィックスDRAM全体のASPも同約0~5%減と予測されるという。

コンシューマDRAMについては、サプライヤが減産を進めているが、供給過剰が続いており、同四半期のASPは同0~5%減となるとTrendForceでは予想している。