竹中工務店は6月27日、竹中グループCO2削減長期目標を達成するため、建設現場における建設機械のCO2排出量の自動モニタリングを開始したと発表した。CO2排出量の自動モニタリングは、同社とアルモが共同開発した建設機械の稼働・停止を自動検知するIoTデバイス「どんだけ」と、同社とユアサ商事が2023年1月に共同開発した「CO2排出量モニタリングシステム」の連携により実現したとのこと。

  • CO2排出量モニタリングシステムの構成

同社は、2023年2月1日以降に着工した全新築工事にCO2排出量モニタリングシステムを導入しているという。

  • IoTデバイス「どんだけ」の外観

今後、機械保有会社、レンタル会社と「どんだけ」の運用体制を整備することで、建設現場への導入を推進し、同システム」との連携により、CO2排出量を自動モニタリングする適用範囲の拡大を図るとしている。

  • IoTデバイスを装着したフォークリフト

  • IoTデバイスを装着した油圧ショベル

  • IoTデバイスを装着した高所作業車

「どんだけ」は、電流を検出するセンサーと防水ケースに内蔵した通信装置で構成し、建設機械のバッテリーに取り付けることで、機械の稼働・停止状態を検知する。検知した情報を内蔵した通信装置からCO2排出量モニタリングシステムに送り、建設機械の稼働時間からCO2排出量を算出する。

なお同システムは、ゼロボードの建設業界向けGHG(温室効果ガス)排出量算定・可視化ツール「zeroboard construction」に、ユアサ商事と同社が自動データ収集機能を実装させたもの。

同装置の導入により、建設現場で使用する全てのエンジン式建設機械のCO2排出量算出において、機械台数等の手入力が不要となり、省力化を図れると共に、より精度の高い排出量をタイムリーに把握できるとしている。同社は現在、工事中のプロジェクトで、クローラクレーン、杭打機、油圧ショベル、フォークリフト、高所作業車、発電機への同装置の適用を進めている。

同社の建設現場で排出するCO2のうち、スコープ1(重機などの稼働に使う軽油由来)が約75%、スコープ2(場内照明や仮設事務所などに使う電力由来)が約25%。CO2削減長期目標の第1目標である2030年に、スコープ1+2の2019年比46.2%削減の達成に向け、同システム導入によって建設現場におけるCO2削減策の効果と検証、全社での状況の把握により、効果的な削減策の抽出・水平展開を図り、CO2排出量の目標管理をきめ細かく行うとのこと。

今後も、同社グループCO2削減長期目標を達成するため、工事で用いるエネルギーのグリーン化を始め、多様な取り組みを推進し、脱炭素社会の実現に貢献していくとのことだ。