ピュア・ストレージ・ジャパンは6月21日、同社の主力製品であるフラッシュストレージ「FlashArray」のXシリーズとCシリーズから、新製品として「FlashArray//X R4」「FlashArray//C R4」を提供すると発表した。同日には記者説明会が開かれ、新製品の特徴などが解説された。

なお、両製品は2023年6月14~16日に米国・ラスベガスで開催された米ピュア・ストレージの年次イベント「Pure//Accelerate 2023」にて先行発表されている。

  • 「FlashArray」のシリーズラインアップ

    「FlashArray」のシリーズラインアップ

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米国の年次イベントで発表された「FlashArray//X R4」「FlashArray//C R4」

FlashArray//X R4は、大規模なOLTP(Online Transaction Processing)データベースや仮想化されたデータベース、リアルタイム分析など、ミッションクリティカルなワークロード向けの製品となる。データ削減率5:1をベースとした最大実効容量314TB(テラバイト)の「//X20」のほか、同663TBの「//X50」、同2.3PB(ペタバイト)の「//X70」、同3.3PBの「//X90」の4種類がラインアップされる。

FlashArray//C R4は、オペレーショナルデータベースやVDI(Virtual Desktop Infrastructure)、開発・テスト、データ集約、ディザスタリカバリなど、ビジネスクリティカルなワークロード向けの製品と位置付けられる。データ削減率5:1をベースとした最大実効容量1.6PBの「//C50」のほか、同4.8PBの「//C70」、同8.9PBの「//C90」の3種類がラインアップされる。

両製品ともCPUには最新のIntel Sapphire Rapidsを搭載し、DDR5メモリやPCIe Gen4といった最新のハードウェア規格に対応しているほか、従来製品に比べてメモリ速度を80%以上高速化するなどハードウェアの性能が強化されている。これによりパフォーマンスが最大40%向上しているという。どちらの製品も2023年6月14日より、同社ホームページからの見積もりを受け付けている。

今回、両製品のコントローラが共通化されたため、集約制御が可能となった。コントローラ共通化により製品の納期遅延が低減されるほか、保守パーツの共通化、社内の型番管理の簡素化などのメリットがあるという。

なお、パフォーマンスを重視したFlashArray//X R4のDFM(Direct Flash Module)にはTLC(Triple Level Cell)が、容量を重視したFlashArray//C R4にはQLC(Quad Level Cell)が採用されている。

  • 「FlashArray//X R4」「FlashArray//C R4」の特徴

    「FlashArray//X R4」「FlashArray//C R4」の特徴

現在、Xシリーズで採用しているTLC DFMは最大18TBから、今後は36TBに容量を拡大するという。Xシリーズでは75TBのQLC DFMも採用する計画だという。説明会では、Cシリーズで採用しているQLC DFMについても、現行の48TBから75TBに拡大する計画が明かされた。

大容量かつギガバイト単価を抑えた「FlashArray//E」

説明会では、両製品に先駆けて2023年6月14日に発表された新製品「FlashArray//E」も紹介された。同製品は、ディスクベースのストレージへの置き換えをターゲットとする「FlashBlade//E」に続く、大容量かつGB(ギガバイト)単価を抑えた製品となる。3年間のサポート込みのGB単価は0.2ドル以下だという。こちらは2023年秋頃に提供を開始する予定だ。

なお、同製品の最小構成は3Uで、不揮発性メモリを搭載した75TBのQLC DFMが採用されており、実行容量は1~約6PB(物理容量は1~4PB)となる。同社の試算ではディスクベースのストレージと比較して、電力とスペースを80%、運用コストを60%、電子廃棄物を85%削減できるという。

  • 「FlashArray//E」の仕様

    「FlashArray//E」の仕様

説明会にオンラインで参加したピュア・ストレージ・ジャパン アジア太平洋・日本地域担当 プリンシパル・テクノロジストの岩本知博氏は、「FlashArray//Eは、FlashArray//X R4やFlashArray//C R4と使用するOSやハードウェアは同じで、オールフラッシュのメリットをディスクよりも優れた経済性で提供する。同製品が追加されたことにより、FlashArrayシリーズは性能重視のミッションクリティカルから容量・コスト重視のセカンダリーまで、あらゆる用途にソリューションを提供できる」と説明した。

  • ピュア・ストレージ・ジャパン アジア太平洋・日本地域担当 プリンシパル・テクノロジスト 岩本知博氏

    ピュア・ストレージ・ジャパン アジア太平洋・日本地域担当 プリンシパル・テクノロジスト 岩本知博氏

ディスクベースのストレージの運用にあたっては、スペースの確保や多大なエネルギー消費が必要になる。加えて、企業で扱われるデータ量が増え続ける現状も踏まえて、岩本氏はFlashArray//Eを「ハードディスクとの決別を決定づける」製品と位置付ける。

「導入コストはディスクと同等でありながら、6年間のTCO(Total Cost of Ownership)を40%削減可能だ。従来の購入方法に加えて、当社の従量課金のサブスクリプションモデル『Evergreen//One』での導入も可能なため、部品交換や管理のための時間も短縮できる」(岩本氏)

同製品のユースケースとしては、医用・ヘルスケア画像を扱うシステムや映像監視システムのライブラリ、ログやコールドデータのアーカイブなどの用途のほか、コンプライアンスなどの観点からパブリッククラウドではなくオンプレミスで保管しているデータの保管先としての利用などが挙げられた。

2024年度第1四半期は、Evergreen//Oneの売り上げが過去最大に

説明会では、ピュア・ストレージ・ジャパン 代表取締役社長の田中良幸氏が登壇し、2024年度(2023年2月1日~2024年1月31日)の第1四半期のビジネス概況を振り返った。

「全世界の顧客数は1万1500社を超え、Evergreen//Oneによるサブスクリプションの売り上げが過去最大となるなど業績は好調だ。サービス停止を伴わずに最新のテクノロジーと機能を提供するEvergreenという当社の思想・ソリューション提供形態が評価されて、数字に繋がっていると理解している」と田中氏は述べた。

  • ピュア・ストレージ・ジャパン 代表取締役社長 田中良幸氏

    ピュア・ストレージ・ジャパン 代表取締役社長 田中良幸氏

第1四半期のハイライトとしては、2023年3月に発表した「FlashBlade//E」の提供開始や、パブリッククラウド上でブロックストレージを提供する「Pure Cloud Block Store」の最大規模の受注などが挙げられた。

最後に田中氏は、「全製品は単一のOSで動き、2つのアーキテクチャで成り立っている。データ管理システムも1つと、シンプルで一貫性に優れたソリューションを提供しているのが当社の特徴だ。ハードディスクの時代が終わりを告げようとしている中で、世の中のディスクストレージをオールフラッシュストレージに代えようと自信を持って提案していきたい」と語った。

  • 米ピュア・ストレージ 2024年度第1四半期のビジネス概況

    米ピュア・ストレージ 2024年度第1四半期のビジネス概況