アステリアは6月16日、ノード統合プラットフォーム「新Gravio」を7月3日から提供開始することを発表し、記者説明会を東京都内のオフィスで開催した。同社によると、クラウド型とエッジ型の利点を組み合わせた、「ノード型のサービス」が開発コンセプトなのだという。
同社が2017年にリリースしたGravioは、センサーなどのIoT(Internet of Things:モノのインターネット)端末から収集したデータをつなぎ、一元管理を支援するプラットフォームだ。一連の操作をノーコードで完結できる利点を持つ。オフィスや学校、商業施設などで利用されているようだ。
近年はセンサーやデバイスの発達によって、取得できるデータの種類や量は増加の一途をたどる。また、5Gなどの通信技術を背景として、高速処理や電力消費の分散などを目的にエッジコンピューティングの利用機会も増えている。
このような状況の中で、アステリアはノーコードでデータを一元管理可能なサービスを提供することで、誰もが迅速にデータを活用できるように支援するとしている。
同社が今回発表した新Gravioは、多要素化・多拠点化するデータに対応するために、データベース(SQL)以外にもファイルやMQTTに適用域を拡大している。さらに、各ノードのデータを統合して活用するためのクラウドサービスも提供を開始している。
アステリアのグローバルGravio事業部長を務める垂見智真氏は「企業の中枢から末端の現場まで、あらゆるノードのデータを集めて管理するためのサービス。当社としては、まさにNDM(Node data Management)のプラットフォームとして展開したい」と、同製品を紹介した。
同サービスの利用場面の例としては、トラックや車両などの移動体の位置データや、スポーツ競技場の人流データ、商業施設に設置したカメラからの客層データの取得などが挙げられる。これらのデータは新Gravioの機能であるGravio Cloudで集約・一元管理可能で、さらに外部サービスとのAPI(Application Programming Interface)連携も可能とのことだ。
説明会中のデモンストレーションでは、垂見氏の自宅に設置したセンサー(ノード)が取得した気温や湿度のデータを、ノーコードでグラフ化する様子が披露された。
また、新Gravioは生成AI「ChatGPT」とも連携している。これにより、データベース接続におけるSQL文の生成をサポートする。例えば「一番古いユーザーのメールアドレスがほしい」と日本語で記述した場合に、その条件を満たすSQL文を自動で生成するといった具合だ。
同サービスは、導入前の機能検証に使えるデモ用の無償版の他に、小〜中規模環境向け の月額課金型の「Business」と、中〜大規模環境向けの月額課金型の「Business Pro」を展開する。また、中〜大規模環境向けには、ライセンス版も提供する。温湿度計やドアの開閉センサー、人感センサーなど、各種のセンサーは無償での貸し出しにも対応するようだ。
代表取締役社長の平野洋一郎氏は「新Gravioは、センサーからクラウドまで、現場のラストワンマイルを含めて多要素かつ多拠点化するデータを統合的に管理できるプラットフォームだ。エッジとクラウドの良いとこ取りしたサービスで、アジャイルな現場のDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援したい」とコメントしていた。