OpenAIのCEO、Sam Altman(サム・アルトマン)氏が中国のイベントに参加した。ここで、AIのリスクについて米国と中国の研究者が協力する必要があると訴えたという。

2022年11月末から始まった「ChatGPT」ブームの後、生成AIは経済、政治でも重要視されるトピックに。イタリアが一時的に禁止する(その後は解除)などの動きが出てきている。

そのようなこともあってか、ChatGPTの開発元であるOpenAIのアルトマン氏は世界のあちこちを飛び回っている。

5月末に複数の欧州国を訪問したかと思えば、6月10日には中国・北京に降り立ち、北京智源人工知能研究所(北京人工知能アカデミー:Beijing Academy of AI、以下BAAI)の年次カンファレンスのオープニングキーノートに登壇した。

Wall Street Journalによると、アルトマン氏は満員の会場から歓声を受けたとのこと。そのステージで、「中国には世界有数のAI人材がいる。だから、中国のAI研究者がAIのリスクについて素晴らしい貢献をしてくれることを期待している」と述べたという。

同イベントには、米国が厳しい制裁を加えているHuawei Technologies、検索のBaidu、音声認識のiFlytekなどが参加していたとのことだ。なお、OpenAIはChatGPTを含む自社サービスを中国で提供していない。

Wall Street JournalはThe Brookings Institutionの報告として、中国はAI分野で米国を上回る質の高い研究論文を発表しているものの「パラダイムシフトになるようなブレークスルー」という点では、米国よりも遅れをとっているとのことだ。生成AIについては、中国は米国の1~2年遅れだという。

アルトマン氏は先に、AIの父“AIの父”Geoffrey Hinton氏らと連名で、AIのリスク軽減を最優先課題にすべきという警告「AIリスクに関する声明」を発表している。

また、3月にはAI研究者のYoshua Bengio氏やElom Musk(イーロン・マスク)氏らが、大規模なAI実験を一時停止することを求める公開書簡「Pause Giant AI Experiments: An Open Letter」を発表するなど、AIのリスクに関する議論が過熱している。