Microsoftを共同創業したBill Gates(ビル・ゲイツ)氏。巨大な富を成し遂げた現在の主たる活動は慈善活動だ。そのゲイツ氏が、自身の若いころを振り返りながら、「そんなに自分に厳しくしなくても良い」という言葉を若者に贈った。
ビル・ゲイツが語ったこと
ゲイツ氏の言葉は、北アリゾナ大学の工学部、情報学・応用学部、環境・林業・自然科学部の卒業式で行ったスピーチだ。
同氏は自身のブログGatesNotesで、北アリゾナ大学で卒業のスピーチを行うことを記しながら、「大学をドロップアウトした私が、卒業式について何を語ることができようか」と書いている。ご存知のように、ゲイツ氏自身は大学を中退している。名門ハーバード大学に籍を置くも、卒業はしていない。
また、自身の子供が大学を卒業していることから、自身のブログで「ものすごい努力とカフェイン漬けになった夜を経ていることを知っている」と続けている。学生を前にしたゲイツ氏は、5つのアドバイスを贈ったという。その1つが、上記のワークライフバランスに関したアドバイスだ。
「自分に厳しくしないからと言って、怠け者ではない--」。同氏はそう語ったという。このスピーチの全文を掲載した同氏のブログによると、自分自身は学生時代に休暇や週末を信じていなかったと述べたという。自分だけでなく、周囲にも厳しかったそうだ。
「周囲にいる人にも、ハードワークを強要した。Microsoftの黎明期、私のオフィスからは駐車場が見渡せ、誰が早く帰っており、誰が遅くまで残っているのかを把握していた」とゲイツ氏。今ならちょっとしたパワハラに聞こえなくもない話だ。
ゲイツ氏が得た気づき
そんな同氏も、年とともに学んだという。「特に父親になってからは、人生は仕事だけじゃないと気がついた」と。
そして「この教訓を学ぶのに、私のように時間をかける必要はない。人間関係を育み、自分の成功を祝福し、損失から回復する時間をとる。必要な時は休む。周囲の人に対しても、厳しい態度を取らない」と述べたそうだ。
ゲイツ氏の残る4つのアドバイスは、「あなたの人生は一幕の劇ではない(決意を変えても良い)」「あなたは混乱するほど頭が良いわけではない(周囲の助けを借りる)」「重要な問題を解決する方向に自分を向かわせる」「友情のパワーを過小評価しない」だ。
なお、同氏はスピーチをした5月13日、北アリゾナ大学より名誉博士号が授与された。ゲイツ氏は慈善活動の一環として教育にも力を入れている。自身のブログで、25歳~34歳で高等教育を受けている人の比率が米国ではG20中14番目であることに触れ「大卒の人は長生きし、仕事の収入も多く、市民活動にも積極的であるなど利点がある」と記している。