「ChatGPT」の公開以来、AIの利用が急速に広まっている。学生のレポートから、業務でのリサーチやセールストーク、文章作成と、その適用範囲は広く、以前から言われてきた自動化による業務の変化が現実味を帯び始めた。
絵本を自己出版する人も
振り返れば、技術の進化に合わせてわれわれのスキルも変化してきた。馬車から自動車になると、馬を操るスキルから運転スキルが必要となった。
計算機の登場で暗算ができることの重要性は低くなり、ワープロにより漢字を覚えたりスペルを覚えていなくても文章が作成できるようになった。
AIの時代はどのような変化をもたらすのか?ズバリ「学習をスキップしてよい」とするスキルは、以下の5つだ。
- ライティング
- アートデザイン
- データ入力
- データ分析
- ビデオ編集
1は、ChatGPTの登場が最初に大きなインパクトを与えた分野だ。この文章ですら、ChatGPTが書いていたとしてもおかしくない(そうではないが)。
人事部門ではジョブディスクリプションをChatGPTにやってもらうという動きがあり、SAPの人事クラウドSuceessFactorsは5月、Microsoftとの提携により、ジョブディスクリプションの自動化機能を発表している。
情報のサマリ作成、ブレストなどでもChatGPTは使えるという。Reutersによると、米ニューヨーク在住のセールスマンBrett Schickler氏はChatGPTを使って子供向けの30ページの絵本(「The Wise Little Squirrel:: A Tale of Saving and Investing」)を作り、Amazonの自己出版ツールを使って出版したという。
イメージの生成、カラースキームの調整などにAIを使うというのが、2だ。例えば画像生成AIサービス「Midjourney」(β版)はDiscordのコミュニティに入って使うもので、自分が生成したいイメージをプロンプトに入れると画像を作成してくれる。
AIが仕事を奪うのではなく、補完的・協調的であるべき
3のデータ入力は以前から自動化が進んできたが、手書き文字の入力を簡単にしてくれる「AI-OCR」により、アナログ情報を簡単にデータ化できるようになっている。データを収集した後は、そのデータから何らかの意味を見出す必要がある。そこで、AIと機械学習を利用して、大量のデータを分析してパターン化や洞察を得ることができるのが4だ。
専門的な知識が必要だった5のビデオ編集も、AIを使ったソフトウェアが登場している。シーンの選択や組み合わせ、イメージのリタッチ、色補正などもAIが支援してくれるし、プレビューを作成するなどのことも簡単にできるという。
「世界のトップ企業50はAIをどのように活用しているか?」などの著書で知られるBernard Marr氏は、飛行機の自動操縦モードとパイロットの関係に喩えながら「AIが仕事を奪うのではなく、補完的・協調的であるべき」とコメントしている。
なお、ChatGPTに聞いてみると、1.クリエイティビティ、2.エモーショナルインテリジェンス(EQ)、3.体を使うスキル、4.専門分野、5.複雑な意思決定などの人間のスキルは、引き続き必要だという。