沖縄科学技術大学院大学(OIST)は、カリン・マルキデス博士が6月1日より同大学の新学長兼理事長に就任することを発表。新学長就任に際して記者会見を開催し、マルキデス博士がその抱負を語った。
OISTでは、新学長兼理事長の選出にあたって、13名の委員からなる選考委員会を2022年3月に発足。OIST学園理事会理事や教職員などが委員を務め、その中には3名のノーベル賞受賞者も含まれているとのことだ。そして新学長の候補を世界中から募った結果、370を超える応募があったという。
その後オンラインでの面接などを経て、11月までに候補者は3名まで絞られ、沖縄の地で2日間にわたる面接を実施し、マルキデス博士が選出されたとする。
新学長兼理事長に就任するマルキデス博士は、スウェーデン・ストックホルム大学で分析化学の博士号を取得。これまで、スウェーデン・チャルマース工科大学の学長兼理事長や、アルメニア・アメリカン大学(カリフォルニア大学提携校)の学長などを歴任。米国や欧州において、科学者・教授としても成果を残している。
さらにマルキデス博士は、スウェーデン王立科学アカデミーの会員であるほか、ノーベル化学委員会の委員も務めるなど、分析化学を専門とする科学者として、国際的に実績を持つ。OISTはこれらの点から、新学長としての選出に至ったとする。
また、複数大学での経営手腕も評価されたとのことで、過去には他地域の大学や産業パートナーとの連携を拡大するなど、エコシステムの醸成を積極的に進めてきたマルキデス博士の経験が、「沖縄の経済発展に貢献する」ことを目指すOISTにとって大きなアドバンテージになるとしている。
加えて、OIST学園理事会副議長のジェームス・比嘉氏は、「日本の女性にとって、女性が何でもできる、何にでもなれるという、今の時代に必要なロールモデルとして、勇気や希望を与える存在になるだろう」と話す。
マルキデス博士は、新学長としてまず注力したいこととして、新しい戦略計画と年次プロセスの策定を挙げる。またその中では、「ボトムアップの形でアイデアを吸い上げて形にできるようなプロセスを構築したい」とし、その実現に向けては、信頼関係や魅力の発信といった積極的エンゲージメントが不可欠だとする。
またマルキデス博士は会見の中で「沖縄での官民学の連携」を重視する姿勢を強調。直近の目標を「強みを見極めること」とし、「知識・ビジネス・開発が交差する領域で、沖縄の長期的かつ持続可能な発展に寄与する強みを見出すことから始めたい」と意気込みを語った。