ネクストモードは、昨年度(2022年2月1日から2023年1月31日までの期間)、日本において最も多くの新規顧客へOkta製品を販売したことが評価され、Okta Japanの「Partner Award」より「Reseller New Business of the Year」を受賞した。
Oktaのソリューションを通じて、顧客への革新的なソリューションの提案、提供で顕著な成果を達成したパートナー企業に贈られる「Partner Award」の授与式が、5月24日に開催された「Okta Partner Forum」で実施された。
「Okta Partner Forum」では、Okta Japanのパートナー統括本部長、田中克典氏が、「Okta Japanにとって成功裏に終わった1年。第3四半期は前年対比140%を達成し、アジア・パシフィックにて、オーストラリアを抜いて第1位となったほか、第4四半期も前年対比130%で、Okta Japan始まって以来の業績になった」と、同社の業績を総括した。
米Oktaのグローバルパートナー&アライアンス担当SVP、Bill Hustad氏がグローバルでのパートナービジネスにおける戦略と方向性を、また、Okta Japanのリージョナルアライアンスマネージャー、安田幸史氏が、新たに刷新されたパートナープログラムについて紹介した。
ネクストモード・里見社長「自分たちが使っているものしか売らない」
「Partner Award」の授与式の直後、2年連続で「Reseller New Business of the Year」を受賞したネクストモード 代表取締役社長の里見宗律氏に話をうかがった。同氏は開口一番、「今年も頑張りたいと思っていたので、2年連続でいただけて本当に良かったです」と喜びの声を上げた。
2年連続受賞に至った同社の強みについて、里見氏は「自分たちで実際にOktaの製品を使っていること」と語った。「他のSaaS製品も同じですが、自分たちで使っているものしか売らないというのがポリシー。われわれが愛しているもの、大好きなものしか売っていないので、その内容も非常に詳しい」と製品知識への自信をのぞかせる。
さらに、里見氏は「毎日、Oktaの製品を使っているので、どういう時に困るか、どういうところが使い難いかといった点をよく理解していることから、お客様に対するサポートもより具体的にできる」といった同社の強みを明かした。
顧客のサポートについても、「旧来のメールやプレゼンテーション資料を使った説明ではなく、SlackやNotionを使って、具体的にそしてクイックにサポートしています。そこがお客様に気に入っていただけているのではないか」と分析する。
「うちのメンバーの業務は、毎日Oktaから始まり、Oktaで終わります。Oktaを使っているという意識はなく、もはや生活の一部」という里見氏。Oktaを使うメリットについては、次のように語る。
「Oktaはログインするときにパスワードを覚えておく必要がなく、利便性がよいです。当社のメンバーは、フルリモートで全国、北海道から沖縄までいろいろなところで働いています。しかし、どこにいてもIDがクラウド上で管理されているので、仮にパソコンを紛失しても、Oktaのアカウントさえシャットダウンすれば、すべての社内システムにアクセスできなくなります。そういった意味で、セキュリティ面の安心感も大きいです」
Oktaは連携力に優れており、現在およそ7,500のSaaSとレディメイドでつながることができるが、「オンプレミスや独自のソフトウェアとつなぎたいというお客様への対応」がOkta製品を扱う上での難しいところだという里見氏。
多くの顧客をサポートする中で、ネクストモードとしての知見もかなり深まっているが、「初めてのケースというお客様もが出てきますから、そこは毎回勉強させていただきながら、次へとつなげています」と里見氏は話す。
想定を上回る伸びを見せているSaaSビジネス
ネクストモードは、「クラウドであたらしい働き方を」というビジョンを掲げ、NTT東日本とクラスメソッドが設立したジョイントベンチャーだ。2020年7月という、コロナ禍の真っ只中での起業となったが、「結果的にはそれが良かったかもしれない」と里見氏は振り返る。
最初はAmazon Web Services(AWS)を中心としたビジネス展開を予定しており、OktaなどのSaaS関連ビジネスは5年後くらいの立ち上がりが想定されていた。
しかし、「初年度はSaaSで300万円くらいの予定が、その20倍も売れてしまった。その後も、予想を良い意味で裏切る成長を続けており、今では売上の4割がSaaS関連となっています。コロナ禍をきっかけにリモートワークが中心の世の中になったおかげで、SaaSを使いたいと声を掛けていただく機会が増えたのではないかと思います」と、里見氏は語る。
加えて、ネクストモードの立ち上げ時期が、Okta Japanの設立と重なったのも大きかったと里見氏は語る。「Oktaの日本法人が2020年秋ごろに設立されたのですが、その情報を聞いてすぐ、(代表取締役社長の)渡邉さんに連絡を取りました。ぜひOktaの製品を取り扱わせてほしいと。ただ、そのときは『ネクストモードさんのように小さな会社で、うちの製品を扱えるの?』と言われてしまいました。そんな状況からスタートして、賞をいただけるまでになった。われわれとしても非常に感慨深いです」と、同氏は喜びをかみしめながら、起業当時を振り返った。
「ID管理がますます重要になってくる」と今後を展望する里見氏だが、「日本の市場はアメリカと比べてまだまだ未熟で、われわれがもう一つの軸として取り扱っているAWSの10年くらい前の状況に似ている」と分析する。
AWSなどのパブリッククラウドの分野は成長率がやや鈍化する傾向にある中、ID管理の市場は非常に伸びている状況において、「Oktaの製品を軸に、これからもさまざまなクラウドのインテグレーションを進めていき、3年連続、4年連続を目指して頑張っていきたい」と、里見氏はさらなる成長への意気込みを語ってくれた。