矢野経済研究所は5月15日、空飛ぶクルマ世界市場の調査結果を発表し、地域、国別や参入企業各社の動向、将来展望などを明らかにした。 同調査は国内外の空飛ぶクルマメーカー、関連メーカー、業界団体、自治体などを対象に実施したものだ。

米Uberが空のライドシェアサービス「Uber Air」の事業構想を発表し、同時に世界中で空の移動に向けて積極的な空飛ぶクルマ関連の開発が開始されている。世界的に2025年前後で事業開始予定とされており、これから約2年で本格的な機体の開発、バーティポート(Vertiport:専用離着陸場)といった周辺設備の設置検討、整備、調整が進められていくと矢野経済研究所はみている。

同社は、欧州と北米、中国、日本、その他地域・国それぞれで起こり得る内容を加味して、2025年の空飛ぶクルマ世界市場規模を608億円になると予測した。事業開始から2030年頃までは、事業の定着と拡大に向けて、機体導入や飛行ルート等のインフラ整備が急激に進んでいき、世界中で加速的な成長が続くと想定している。

  • 空飛ぶクルマ世界市場規模予測 出典:矢野経済研究所

    空飛ぶクルマ世界市場規模予測 出典:矢野経済研究所

日本国内でも、空飛ぶクルマの事業化に向けて機体開発と同時に、空飛ぶクルマ専用の離着陸場となるバーティポートの設置検討が並行して行われている。機体やそれ以外のシステム管理などと同様に、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)開催時にはバーティポートも実装に向けた段階調整やシステム含めた確実な設置が必須とされている。

空飛ぶクルマの事業化の課題とされる「社会受容性」「機体開発」「地上インフラや管制システム」「法規制」が整備されていくことで、2035年頃には社会受容性や各国の経済発展も後押しした成長が期待され、2040年代にはさらに機体導入や新飛行ルート、バーティポートの設置が進められることで引き続き安定した市場拡大を同社は見込んでいる。安定期と考えられる2050年頃には、空飛ぶクルマ世界市場規模は180兆円を超える市場へと成長すると予測している。