Gartner(ガートナー)は4月26日(米国時間)、最新の調査に基づき、2023年の半導体市場規模の予測値を前年比11.1%減の5322億ドルへと下方修正したことを発表した。

同社は2022年11月末に発表した予想市場規模5960億ドルを2022年末に同6.6%減の5627億ドルへと引き下げていたが、2023年4月の予測値では、それがさらに引き下げられることとなった。

  • 2023年4月時点での2022年~2024年の半導体市場予測

    2023年4月時点での2022年~2024年の半導体市場予測。単位は10億ドル (出所:Gartner(April 2023))

下方修正の大きな要因となっているのがメモリ市場の回復が立ち遅れていること。同社では2023年もメモリの過剰生産と過剰在庫への対応で平均販売価格(ASP)に下落圧力がかかり続けるとみており、DRAMはサプライヤ各社が減産を続けているにも関わらず、最終セット製品側の需要も弱いままのため、在庫レベルが高止まりし、供給過剰がしばらく継続するため、2023年のDRAM市場は前年比39.4%減の476億ドルへと落ち込むことが予想されるとしている。ただし、2024年については価格の回復を追い風に同86.8%増と急回復するとも予測している。

一方のNANDについてもDRAM同様の需要の弱含みならびに過剰在庫の影響で価格下落がしばらく続くと見られ、その結果として2023年のNAND市場は同32.9%減の389億ドルへと落ち込むものと予想している。ただし、こちらも2024年は2023年に生産を絞った結果、供給不足となり同60.7%増と回復を予想している。

また、最終アプリケーションを見ると、これまで半導体市場をけん引してきたPC、タブレット、スマートフォン(スマホ)の3市場の2023年の合計額は半導体市場全体の31%を占める1676億ドルとなるが、同社ではこれらの市場は飽和状態にあり、魅力的な技術革新を欠いていると指摘している。一方、自動車ならびに産業、航空宇宙軍事産業といった分野での成長が期待されるようになっており、中でも自動車向け半導体市場は2023年に同13.8%増の769億ドルと2桁成長を遂げると予想している。

なお、こうした動きを踏まえ同社では、最終アプリケーション市場は、コンシューマの購買意欲がけん引する流れから企業の設備投資の動きなども加味されるようになってくるとしており、将来的には自動車、産業、IoT、航空宇宙軍事といった複数の小規模なエンドマーケットへと成長市場が分化していくとの見方を示している。