ユーグレナと帯広畜産大学の両者は4月12日、微細藻類のユーグレナと海藻の「カギケノリ(紅藻)」の混合飼料が、牛などの反芻家畜の健康を損なうことなく排出するメタンの量を軽減させることを確認したと共同で発表した。

  • (左)ユーグレナ粉末。(右)カギケノリ(赤紫色の海藻)

    (左)ユーグレナ粉末。(右)カギケノリ(赤紫色の海藻)(出所:帯広畜産大プレスリリースPDF)

同成果は、ユーグレナと、帯広畜産大 生命・食料科学研究部門の西田武弘教授らの研究チームによるもの。詳細は、動物学や獣医学を含む動物専門の学術誌「Animals」に掲載された。

近年、畜産業の現場では、その環境負荷や飼料原料の不足・高騰などの課題が表面化しており、環境負荷が少なく持続可能な代替となる飼料原料を見出すことが急務とされている。中でも、牛をはじめとする反芻家畜が、飼料を消化する過程で胃から放出する大量のメタンは、二酸化炭素(CO2)の約25倍の温室効果を有するとされ、温室効果ガス全体の約5%を占めるといわれる。そのため気候変動に及ぼす影響がCO2に次いで大きく、その抑制・軽減は喫緊の課題となっている。

近年、反芻家畜からのメタン排出量を削減する飼料原料の選択肢の1つとして期待されているのが、藻類だ。これまでの研究から、カギケノリは含有物質「ブロモホルム」を通じて、反芻家畜の消化器官で生成されるメタン量を軽減する効果があることがわかっている。しかし、カギケノリの飼料への含有量が多くなった場合する揮発性脂肪酸(VFA)の組成への影響な、家畜がエネルギー源とどの懸念が挙げられていたという。

また、微細藻類のユーグレナも、反芻家畜への給餌がメタン排出量を軽減させることが確認されている。ユーグレナは、タンパク質や脂質、炭水化物のほか、ビタミンなどの栄養素を豊富に含んでいることから、大豆やトウモロコシ、小麦などの従来の飼料原料と同等かそれ以上の素材となる可能性も期待できるとする。