リコーは4月5日、国土交通省が主導する下水道応用研究において、下水道施設における創エネルギー化技術の検討を実施したことを明らかにした。今回の検討では、同社の新規事業創出の取り組みであるTRIBUS(トライバス)に採択された社内スタートアップのWEeeT-CAM(ウィットカム)をはじめ、シーベル、金沢工業大学 機械工学科との産学連携により、3Dプリンター製のマイクロ水力発電装置を開発し、下水処理場に用いた。

  • 下水処理施設におけるマイクロ水力発電装置の活用イメージ

    下水処理施設におけるマイクロ水力発電装置の活用の例

下水処理の過程においては、ごみや砂や汚れなどを沈殿させ、下水をタンクに送り込んでから微生物を使って汚れを分解する。微生物を活発に働かせるために常に水中に酸素を送る必要があり、そのプロセスに約75キロワット時の電力が必要となる。年間の電力費は約1100億円に相当するようで、電力消費量の低減による省エネとコスト削減が急務となっている。

一部の下水処理場に設置されている従来のマイクロ水力発電装置は水車効率が低いため出力が小さく、水力発電装置の機器コストや設置コストが高いといった課題があった。また、機器重量が大きく現場担当者の負担が大きい、さびやすい環境での使用が難しいなどの課題もあったという。

これらの課題に対し、リコーらは下水道のグリーンイノベーションに向けた技術実証に取り組んできた。水車形状の設計は低落差型のマイクロ水力発電専門会社であるシーベルと金沢工業大学が連携し、静岡県内の下水処理場での実証実験を実施した。

今回使用したマイクロ水力発電装置は1つの装置に発電機を2機搭載しており、効率的な発電が可能な特徴を持つ。既存の水路に水車をそのまま置ける開放型タイプで、水力発電用のバイパス水路を新設する必要がない。

検討の結果、リコーの3Dプリンターテクノロジーを用いて、バイオマス由来の材料を使用した羽根を組み込んだマイクロ水力発電機の開発に成功している。また、数キロワットの発電が行えることを確認し、従来の金属製マイクロ水力発電装置と比較して重量は水車部分で約25%、装置部分で約15%の軽量化を実現。さらに、水車の作成期間はこれまでの約1カ月から3日まで短縮したとのことだ。水車部分は樹脂でできており、水中での耐久性も向上している。

この発電機により発電した電気は、下水処理場内にある防災拠点での非常用電源やモビリティなどのバッテリーシステム、クローラー型の自動検査ロボット電源などでの活用も見込めるという。

  • マイクロ水力発電装置イメージ

    作成したマイクロ水力発電装置イメージ