Bill Gates(ビル・ゲイツ)氏がAIの革新性と影響を分析している。「AIの開発はマイクロプロセッサ、パーソナルコンピュータ、インターネット、携帯電話と同じぐらい基本的なもの」とし、仕事、学習、健康管理、コミュニケーションの方法が変わると予想している。

AIはGUI以来の重要な技術の進歩

「これまでの人生で、革新的と感じた技術のデモンストレーションを2つ見た」とゲイツ氏、1つは1980年代のGUI。デモを見せたのはCharles Dimonyi氏で、その後はWindows OSなどに発展し、Microsoftの繁栄につながった。

2つ目は2022年。「2016年からOpenAIのチームとミーティングを持っていた」というゲイツ氏は2022年半ばに課題を突きつけた。それは、AP Biology(APはAdvanced Placementの略で米国の高校生を対象とした高度なレベルの試験、Biologyは生物学)に合格するレベルにAIをトレーニングすること。「それができれば、真のブレークスルーになると伝えた」という。

2~3年かかると思っていたところ、OpenAIのチームは数カ月でやってのけたという。外部の専門家の採点で、最高のスコアである5を獲得したそうだ。

試験終了後、ゲイツ氏はAIに「病気の子供を持つ父親になんというか?」という非科学的な質問をしたという。その回答は、「その部屋にいたわれわれ(人間)が考えるよりも優れた思慮深い回答だった」とのことだ。

ゲイツ氏はその時に、AIはGUI以来の重要な技術の進歩だと確信し、そして今後5~10年で達成できることを考えるようになったという。

「AIの開発は、マイクロプロセッサ、パーソナルコンピューター、インターネット、携帯電話と同じくらい基本的なもの。人々の働き方、学び方、旅行、健康管理、コミュニケーションの方法を変えるだろう。業界全体がAIを中心に方向転換する。企業は、AIをどれだけうまく使用するかによって差別化される」と同氏。

特に生産性、健康、教育の3分野についてAIの影響を詳細に分析した。例えば、生産性では「パーソナルエージェントの作成が可能になる」とし、デジタルのアシスタントのように、メールを確認したり、出席したミーティングについて知るなどのことをやってくれるため、人はやりたくないタスクから解放されるとしている。

リスクと問題点も

一方でAIのリスクと問題点にも触れている。例えば旅行の例では、AIが人間のリクエストの文脈を十分理解ができず、存在しないホテルを提案するようなことが考えられるという。抽象的な推論が難しく、数学の問題に誤った回答を出すこともあるが、これは根本的な制限ではなく「2年以内に多くが修正されるだろう」とした。

技術的なものではない懸念や制御不能になる可能性もあるため「政府はリスクを制限する方法について、民間と協力する必要がある」としている。

将来的には「Superintelligent(超知能) AI」につながっていくとゲイツ氏はみる。そのような強力なAIが登場した時に、そのAIの目標が人間の利益と相反する場合どうなるのかといった問題が出てくるとも述べている。

最後に、同氏は「AIは、あらゆる地域の人々の生活を改善するのに役立つだろう。同時に、世界はAIの利点がマイナス面をはるかに上回り、どこに住んでいようと、いくらお金を持っていようと、誰もがAIの利点を享受できる方向に向かってルールを確立する必要がある。AIの時代は、機会と責任に満ちている」という。なお、一連の分析は自身の公式ブログで公表している。