3月14日(現地時間)に最新の大規模言語モデル「GPT-4」をリリースした米OpenAI。同言語モデルを採用した対話型AI「ChatGPT」は、ITはもちろんのこと、教育界をはじめ産業全体を揺るがすなど、注目される存在になっている。
そのOpenAIを共同創業したGreg Brockman氏がインタビューを受けている。同氏は、StripeでCTOを務めた後にSam Altman氏らとともにOpenAIを創業し、現在はプレジデント兼チェアマンを務めている。
超えてはいけない一線を明確にしていく
GPT-4公開と同じ日にインタビューに応じたBrockman氏は、GPT-3と比較して「別物」と断言する。
同氏は「モデルはまだたくさんの問題があり、間違いもある。だが、微積分や法律などの領域におけるスキルは、GPT-3は苦手だったが、かなり良くなっている」とし、それを裏付けるものとして、司法試験ではGPT-3.5は受験者の下位10%前後だったものが、GPT-4は受験者の上位10%前後のスコアで合格するなどの結果を紹介している。
GPT-4で加わったマルチモーダルにより、画像のインプットも可能となった。GPT-4の画像解析機能を利用できるのは視覚障害者支援アプリ「Be My Eyes」のみ。
今後の拡大についてBrockman氏は「いつ実現するにしても、ゆっくり、意図を持った形でリスクとメリットを検証しながら進める。顔認識や人物の画像の扱い方など、政治的な問題に対処して解決する必要があり、危険な領域はどこか、超えてはいけない一線はどこか、それを時間をかけて明確にしていく必要がある」と述べている。
また、堅牢性について同氏は「セキュリティトレーニングを6カ月間行い、内部のテストではOpenAIの利用ポリシーで禁止しているコンテンツのリクエストに応える可能性が、GPT-3.5と比較して82%低く、“事実に基づく”回答については40%高かった」と強調している。
そして、Brockman氏は「GPT-4の能力を理解するために、長い時間を費やした。リリースにより、われわれは学ぶことができる。改善を含めて、定期的にアップデートを行い、このモデルがどのような特徴やモードであっても対応できるように拡張性を高めている」とコメント。
GPT-4にも欠点は存在する
一方で、GPT-4に欠点があることも認め、“システム”メッセージと称するAPIレベルの機能などのツールがあることを強調した。システムメッセージとは、GPT-4とのやり取りにトーンを設定し、境界線を引く指示を与えるものだという。
Brockman氏は「GPT-4のトーン、スタイル、中身を理解することは、私たちにとって非常に重要なこと。われわれはエンジニアリングの方法、つまり人々の役に立つ予測可能な結果を得るための再現性のあるプロセスについて、少しずつ理解しつつある」と説明している。
AIモデルの性能を評価するフレームワーク「Evals」については、モデルの堅牢化に対するOpenAIの取り組みを示すものとし「これを使うことで、ユースケースを体系的な形で見ることができる」という。
Evalsはオープンソースとして公開されているが、それについては「3カ月ごとに新しいモデルをリリースするのではなく、常に改良を加えていくため」としている。なお、インタビューは3月15日付でTechCrunchが報じている。