富士通とお茶の水女子大学は3月17日、ジェンダーに関する課題に対してAI(Artificial Intelligence:人工知能)を活用した解決策の立案を目指す連携拠点として、「富士通・お茶の水女子大学 AI倫理社会連携講座」を3月1日に設置したことを明らかにした。この連携拠点は、富士通が推進する「富士通スモールリサーチラボ」と、お茶の水女子大学の産学連携制度「社会連携講座」の枠組みによって設立したという。
お茶の水女子大学はジェンダー平等の課題について研究を蓄積しており、2022年4月に「ジェンダード・イノベーション研究所」を設立した。また、富士通は信頼できるAIを実現するためのAI倫理技術の研究開発を進めており、AIがマイノリティを不当に扱う問題を防ぐ「交差バイアス緩和技術」を確立した。
両者は今回設立した連携講座において、2023年度末を目標として「多様な人材が活躍できる社会の実現」に向けて、信頼性の高い人材評価AIの開発に取り組む。AIの倫理的リスクに対処するために、富士通が独自に研究開発した交差バイアス緩和技術を人材評価AIに適用して、その評価結果の公平性を、お茶の水女子大学のジェンダー課題に関する社会学、心理学、経営学的分析手法(インタビューやワークショップ)により検証し、その結果に基づいて人材評価AIを改良する。
女性に対する評価が不公正にならないように漏れなく偏りを是正する一方で、多様性の確保を考慮した場合にマジョリティ側に新たな不公平感が生じるような倫理的なリスクの可能性も含め、人材評価AIが公平感を定量的に分析してその判断プロセスや根拠を客観的に提示する技術の開発に取り組むとしている。人材の多様性を社会的に公正とみなされる範囲内で適切に確保できる技術を目指すという。