Twitter社がTwitter APIへの無料アクセス枠を廃止すると発表して1カ月以上が経過したが、依然としてその料金体系の詳細は明らかになっていない。そんな中、研究者などの一部のユーザーがTwitter社から新料金体系の案内を受けていると、Wiredなどの米メディアが報じている。これらによると、Twitter APIの法人向けの新料金はアクセスできるツイート数などに応じて3段階のプランに分かれており、最も安価なパッケージでも月額4万2000ドル(約562万円)になるという。

Wiredの記事を執筆したジャーナリストのChris Stokel-Walker氏(@stokel)は、自身のTwitterアカウントで新しい料金体系に関するものと思われる資料を公開している。それによると、Twitter社が提示しているAPIアクセス価格は、最も安い「Small Package」で月額4万2000ドル、次いで「Medium Package」が月額12万5000ドル、そして最も制限の緩い「Large Package」が21万ドルとのこと。

1カ月にアクセスできるツイート数は、それぞれ5000万回件、1億件、2億件となっており、その他にReal Time PowerTrack APIでデータをフィルタ処理するためのルールの数や、Full Archive Search APIを使用する際のクエリ数、Account Activity APIで分析できるアカウント数などの上限などがパッケージごとに定められている。

  • Twitter APIの新料金体系について伝えたChris Stokel-Walker氏のツイート

    Twitter APIの新料金体系について伝えたChris Stokel-Walker氏のツイート

月額4万2000ドルからというのはかなり高額な料金体系に思えるが、以前からTwitter社が提供してきた「Firehouse API」と呼ばれる法人向けのデータ提供サービスと比較すれば極端な価格とは言えないかもしれない。Firehouse APIは条件に一致するツイートをほぼリアルタイムに100%配信することを保証しているAPIであり、通常のTwitter Search APIなどと異なり有償契約が必要だが、取得したデータをTwitter社の許可を得なくても商用利用できるという違いもあった。

Firehouse APIの料金体系は明らかにされていないが、過去には年間100万ドル規模と報道されたこともある。もちろん、今回報道されている新料金体系は、現時点ではその契約内容が明確ではないため、単純にFirehouse契約と比較することはできないだろう。

一番の問題はやはり無料アクセス枠が廃止されるという点だ。これまでは、商用利用目的ではない簡易な分析であれば、無料のTwitter Search APIやTwitter Streaming APIを利用するだけで十分であった。特にツイートのデータを研究目的で利用しているほとんどの研究者にとっては、無料枠が廃止されたら、月額4万2000ドルもの料金はとても支払えないだろう。

仮に高額な利用料金を支払えたとしても、アクセスできるデータの規模が従来の無料APIに比べて小さいという問題があるとWiredは指摘している。これまでのAPIでは、研究者は全ツイートの1%に無料でアクセスすることができたが、新料金体系のSmall Packageではそれが約0.3%に縮小されるという。

個人向けのTwitter APIの利用料金は、2022年2月13日時点の公式Twitterアカウント(@TwitterDev)による発表では月100ドルになる見込みであることや、月に最大1500ツイートまで投稿可能な無料プランを提供する予定であることが伝えられていたが、その後、本稿執筆時点ではまだ公式な発表は行われていない。