2022年6月30日から2022年12月末を申請期限としていたマイナポイント第2弾。本来であればすでに申請は終了している時期だが、総務省は新型コロナウイルス対策として窓口混雑緩和を実施するため、マイナポイント第2弾の対象となるマイナンバーカードの申請期限を2023年2月末まで延長することを発表した。3月5日の時点で、マイナンバーカードの申請件数は9451万件あまりと、人口に対する申請率は75%を超えたとも報じられている。
ちなみに、マイナンバーカードの申請は 2023年2月末 までだが、マイナポイントの申込みは 2023年5月末 までとなっている。本誌でも、マイナポイント第2弾への申請する方法を紹介しており、マイナポイントを申請していない場合はまだ間に合うので、ぜひ申請の手続きを行ってみてはいかがだろうか。
本稿では、せっかく取得したマイナンバーカードを有効に活用してもらうべく、意外と知らない人も多い「マイナンバーカードの活用方法」を詳しく解説していく。マイナンバー制度やマイナンバーカード、マイナポイント事業に造詣が深い野村総合研究所の冨田勝己氏に話を聞いた。
引越しや医療機関でも! 広がるマイナンバーカードの活用場所
--そもそも「マイナンバーカード」とは、どんなカードなのですか?
冨田氏:マイナンバーカードとは、マイナンバーの提示が必要な場面で、マイナンバーの確認と本人であることの確認がこれ一枚で済む唯一のカードです。金融機関における口座開設・パスポートの新規発給など、顔写真付き本人確認書類が必要な場面でも利用できます。
--他にはどんな場面で活用できますか?
冨田氏:マイナポータルへのログインをはじめ、各種行政手続のオンライン申請に利用できます。最近では2023年2月6日より、引越しの際の転入届・転出予約のオンライン申請もできるようになりました。マイナンバーカードの多目的化も進んでおり、医療機関・薬局での健康保険証としての利用もできます。身近なところでいうと、マイナンバーカードがあれば、コンビニで住民票の写し、印鑑登録証明書などの公的な証明書を取得できます。
--身近な場面で使えるのは便利ですね。他にも、コンビニで取得できる証明書の種類はありますか?
冨田氏:先ほど挙げた住民票の写しや印鑑登録証明書以外にも、住民票記載事項証明書・各種税証明書・戸籍証明書(全部事項証明書、個人事項証明書)・戸籍の附票の写し・新型コロナウイルス感染症予防接種証明書といった証明書を発行することができます。ただし、市区町村により取得できる証明書は異なるため、注意が必要です。
--コンビニで証明書を取得するのは少し難しそうなイメージがありますが、どのように行うのでしょうか?
冨田氏:最初に、店舗に設置されているキオスク端末(マルチコピー機)の画面に表示されている「行政サービス」ボタンを押していただくと、利用開始となります。その後、画面の指示に従って進み、マイナンバーカードの読み取り、証明書交付市区町村の選択、暗証番号の入力といった手順を踏むことで、証明書を取得することができます。一概には言えませんが、それほど時間を要するものではないと思います。私も何度か利用していますが、かかっても数分程度、という印象です。
--コンビニでマイナンバーカードを使用するというと、セキュリティに不安を感じますが、悪用される危険性はないのでしょうか?
冨田氏:証明書の発行には、マイナンバーカードの取得時に設定した数字4桁の暗証番号(利用者証明用電子証明書)を入力し、本人確認を行う必要があります。ですので、マイナンバーカードを持っているだけで悪用されるリスクは低いと考えられます。ただし、この暗証番号は3回連続で間違えると利用者が本人であってもロックされ、市区町村窓口で初期化申請が必要になるのでご注意ください(マイナンバーカードのセキュリティについて気になる方は「マイナンバーカードの疑問を徹底解明『セキュリティは信用できる?』『メリットは?』で確認ください)。
マイナンバーカードを保険証として使うには?
--マイナンバーカードの健康保険証利用について伺います。どのように利用するのでしょうか?
冨田氏:医療機関や薬局の受付でマイナンバーカードを専用のカードリーダーにかざすだけで使えます。かざした後、顔写真の撮影や暗証番号入力で本人を確認します。
--現行の保険証から切り替えるのに、手続きなどは必要でしょうか?
冨田氏:マイナンバーカードを取得した上で、マイナンバーカードの健康保険証としての利用申込みを行う必要があります。スマートフォン上のマイナポータルアプリ、PCのマイナポータル上で行えるほか、セブン銀行ATMからの申込みもできます。健康保険証利用の申込方法について解説している動画も公開しているので、詳しくはそちらをご覧いただけば分かりやすいと思います。
【スマホ篇】マイナンバーカードの健康保険証利用の申込方法の手順(2021年2月26日公開)
【パソコン篇】マイナンバーカードの健康保険証利用の申込方法の手順(2020年8月13日公開)
--マイナンバーカードを健康保険証として活用するメリットは何ですか?
冨田氏:メリットは大きく分けて3点あります。1つ目は、健康保険証の切り替えや更新の必要がなく、ずっと使えるという点。従来であれば就職・転職・引越し時に手続きが必要でしたし、健康保険証そのものも定期的に更新されたりしていますが、以降は不要になります。2つ目は、急な入院で多額な支出が発生する際など、自己負担限度額以上の一時支払いの手続が不要である点。そして3つ目は、患者の同意を得た上であれば、医療機関・薬局が患者の特定健診情報、薬剤情報を閲覧することが可能になる点。例えば旅行先や災害時でも、対応している医療機関や薬局であれば、口頭で逐一説明せずともこれらの情報が連携されるため、より適切な医療を受けられる可能性が高まります。
2024年度末には運転免許との連携も進む
--コンビニ利用・保険証利用のほかに、おすすめのマイナンバーカードの活用術はありますか?
冨田氏:現在、ちょうど受付を行っている確定申告での活用がとても便利だと思います。マイナンバーカードを利用してマイナポータルと連携することで、確定申告の手続に必要な控除証明書などのデータを一括取得・自動入力することができます。ちなみに、以前はリーダーを搭載あるいは外付けしたPCか、スマートフォンでないとできなかったのですが、最近では「データの入力はPCで、マイナンバーカードによる認証は(マイナンバーカードを読み取れる)スマートフォンで」行う方式も可能になりました。PCで入力をしたいがリーダーがないので断念されていた方にとっては、朗報だと思います(マイナンバーカードを活用して確定申告を行う方法を知りたい方は「初めてでも安心!e-Taxを使ったオンラインでの確定申告」で確認ください)。
--今後できるようになるかもしれないマイナンバーカードの活用法などがあれば教えてください。
冨田氏:2024年度末を目指して、運転免許証との一体化が進められています。運転免許証に記載されている有効期限や、取得した免許の種類などの情報を、マイナンバーカードのICチップに記録するというものです。一体化されると、引越しの際にマイナンバーカードの住所変更手続きを行えば、運転免許証の住所変更手続きは不要になります。そのほか、住居地以外での更新手続きの期限が1カ月延長になるといったメリットもあります。