アドビは3月8日、来る3月21日~23日に、年次のデジタルエクスペリエンスカンファレンス「Adobe Summit」を米国ラスベガスならびにオンラインで開催することに先立ちオンラインプレスブリーフィングを開催した。

ブリーフィングには、アドビのDXインターナショナルマーケティング本部 執行役員 本部長である祖谷考克氏、同社のデジタルエクスペリエンス事業本部 ソリューションコンサルティング本部 マネージャー兼プロダクトエバンジェリストの安西敬介氏が登壇し、デジタルマーケティングの最新トレンドや、Adobe Summitの概要を紹介した。

  • Adobe Summitが3月21日~23日に開催

今年の「Adobe Summit」はパンデミック後の顧客体験にフォーカス

初めに祖谷氏が登壇し、挨拶を兼ねてコロナ禍で大きく変化したデジタル化の現状を語った。

「2020年、当時世界中で猛威を振るっていた新型コロナウイルス流行のため、開催まで1カ月に迫っていたAdobe Summitを急遽オンライン開催に変更してから早くも3年が経ちました。そうした中、私たちを取り巻くデジタル化の波は一層スピードを速めているような気がします。そして、改めて企業・ブランドと顧客の関係の在り方であったり、そこに求められる顧客体験の在り方、お客様からの期待値といったりするものもどんどん進化してきているように感じます」(祖谷氏)

  • コロナ禍のデジタル化の進化を説明する祖谷氏

祖谷氏曰く、この数年さまざまな企業が「デジタルによる体験が重要」という考え方を公言してきている中で、アドビは10年以上も前から「世界を動かすデジタル体験を」をミッションステートメントとして掲げている。このミッションの下、世界中の顧客体験を創造し、管理、最適化といった部分を最先端のテクノロジーを活用してサポートし続けてきた「顧客体験のリーディングカンパニー」であると、同氏は述べた。

そんな顧客体験のリーディングカンパニーであるアドビが開催する「Adobe Summit」は、世界中の企業が一堂に会し、パンデミックの波を経た今だからこそ見えてきた顧客体験とビジネス成長といったテーマの最前線について、そして顧客体験の未来について、創造し、発信する場としての意味を持つという。

新たに求められるBtoBマーケティング「4つのポイント」

続いて登壇した安西氏も新型コロナウイルスはデジタル化の進化に大きな影響を与えたと語り、その中でも、オムニチャネルに大きな変化が生じ、改めて無視できない状況になっていると説明した。

「ご存じの通り、新型コロナウイルスが流行する前は、店舗に商品を見に行き、場合によっては試着などをして、レジに並んで買うのが当たり前でした。しかし、新型コロナウイルスの流行後は、『オンラインで買って店舗で引き取る』といった形式を含め、非常に多様な形式のコミュニケーションが生まれてきています」(安西氏)

  • 新型コロナウイルス流行後のオムニチャネルの変化を語る安西氏

このようにさまざまなコミュニケーションが混在している現在、それぞれのチャネルでデータを分析することが多くなってしまっている現状があるという。そのため、今後は各チャネルのデータを統合して1つのオムニチャネルとして顧客本来のジャーニーを知る必要が見直されているという。

上記のような事例をはじめとしてBtoBマーケティングには大きな変化が起きているそうで、これからのBtoBマーケティングは、対面での営業が難しくなりデジタルが強化されたからこそできる「新たなBtoBマーケティングの在り方」が求められてきている、と安西氏は語った。

「今後のBtoBマーケティングでは、『デジタル化による顧客とのコミュニケーション』、『顧客体験を作りだすためのタッチポイントの創出』、『デジタルを利用したパーソナライズ体験の提供』、『非対面になったことによる顧客体験の補完』といった4つのポイントが重要視されるようになると考えています」(安西氏)

  • 新たなBtoBマーケティングの在り方

そして、こうしたの新たなBtoBマーケティングの在り方を実現するためには、「顧客一人一人に適したコミュニケーション」、「データ分析によるマーケティング活動の最適化」、「セルフサービスによるコミュニケーションの深化」を的確に行っていく必要性があるという。

最後に、安西氏は今年の「Adobe Summit」への抱負を以下のように語った。

「すでにKeynoteでも多くの登壇予定の会社さまを発表しておりますが、これに加えてブレイクアウトセッションでたくさんの企業さまにご登壇いただく予定となっています。これらの企業さまを通じて、どういう風に今デジタルのアプローチをしているのか、ということをご覧いただける非常に良いイベントになるのではと期待しております」(安西氏)