米マイクロソフトは3月6日(現地時間)、同社製品におけるAI実装のアップデートとして、Microsoft Dynamics 365においてAIによる対話型支援機能「Microsoft Dynamics 365 Copilot」を提供開始すると発表した。
CRM((顧客関係管理))やERP(企業資源計画))システムは、長らく顧客や企業のデータソースとしての基幹的役割を担ってきた。しかし、同様のシステムでは手作業によるデータ入力、コンテンツ作成、メモ書きなど、負担を要する作業が頻繁に発生する。
Microsoft Dynamics 365 Copilotは、近年進化したジェネレーティブAIを活用し、営業、サービス、マーケティング、オペレーション、サプライチェーンなどの職務に合わせて手作業を自動化するツールを提供する。
Microsoft Dynamics 365 SalesとViva Salesに搭載されたCopilot機能は、営業担当者が事務作業に費やす時間を削減する。具体的には、AIが顧客への返信メールの作成を支援し、Teams会議の要約メールをOutlookで作成する。会議の要約には、製品情報や価格情報など、CRMから得られた詳細情報や、録音されたTeams会議からのインサイトを取り込むことができる。
Dynamics 365 Customer Serviceに搭載されたCopilot機能では、ナレッジベースやケース履歴に基づくチャット体験を提供し、チャットと電子メールの両方において、問い合わせの文脈に沿った回答ドラフトを作成する。
マーケティング担当者向けには、Dynamics 365 Customer InsightsからCopilot機能が提供される。同機能で自然言語によって顧客データ プラットフォームと対話することにより、高度にパーソナライズされターゲットの絞られた顧客セグメントを選別できる。また、これまで考慮していなかった追加セグメントの提案も受けられる。
このほか、Dynamics 365 MarketingのCopilot機能を使用して、自分の言葉で顧客セグメントを記述し、クエリアシスト機能を活用してターゲットセグメントを作成できる。また、簡単なリクエストに基づいて、新しいメールキャンペーンのコンテンツのためのインスピレーションを得ることも可能だ。
同機能のAIは、マーケティング担当者が入力した重要なトピック、組織の既存のマーケティングメール、そして、インターネット上のさまざまなソースに基づいて提案を行い、生成されたアイデアの関連性を高めていく。
Dynamics 365 Business Centralに搭載されたCopilot機能は、オンラインコマース用の商品リスト作成を効率化する。例えば、色、素材、サイズなどの商品属性を使って、オンラインストアの魅力的な商品説明を瞬時に作成できる。トーン、フォーマット、長さを選択して、説明文をさらに調整することも可能だ。
なお、Shopifyを利用しているBusiness Centralのユーザーは、数回のクリック操作だけで、説明文付きの商品をShopifyのストアにシームレスに公開できる。
Microsoft Dynamics 365 Supply Chain Managementのユーザーは、Microsoft Supply Chain CenterのCopilot機能を用いて、サプライチェーンの主要プロセスに影響を与える可能性のある天候、財務、地理などの外部事象をプロアクティブに表示できる。そして、予測的インサイトにより、材料、在庫、輸送業者、流通ネットワークなどで、影響を受ける発注を明確化できる。
サプライチェーン管理者は、Dynamics 365 Copilotで自動的に生成されたドラフトに基づいてメールを作成し、影響を受けるパートナーに警告することも可能だ。