スノーフレイクは2月14日、カンファレンスイベント「SNOWDAY JAPAN」を開催した。同社はアナリティクス、コラボレーションに続き、現在はアプリケーション開発の改革に取り組んでいるとして、その実現を支える技術の最新動向を紹介した。

最初に姿を現したスノーフレイク 社長執行役員の東條英俊氏は、「われわれが提供しているデータクラウドは、基本的なデータプラットフォーム。その先にはデータシェアリングやデータエクスチェンジがあり、これらによって、高度なデータ分析を進めることができる。今、われわれはインダストリーごとに使いやすい環境づくりをしている。日本国内でもデータクラウドの活用は進んでいる」と述べた。 

  • スノーフレイク 社長執行役員 東條英俊氏

続いて、米Snowflake CFO (最高財務責任者)のMike Scarpelli氏が、同社の業績について説明した。同氏は2022年度の売上が11億ドル超だったが、2023年度の売上は19億ドルを見込んでいるとして、同社の業績が好調であることを示した。

「われわれは日本市場を重視しており、将来、日本が売上10%を占めると予測している。当社は年度が終わったばかりだが、前年比60%増の成長を達成しており、これからも投資を続けることができる。当社にとって、重要な価値はカスタマーファースト。カスタマーのケアが投資家のケアにつながる」(Scarpelli氏)

  • 米Snowflake Chief Financial Officer (最高財務責任者) Mike Scarpelli氏

Scarpelli氏は「イノベーションは常にカスタマーのために行われているが、カスタマーとの対話も変わってきた。今は、ビジネスの成果が重要なテーマとなっている。カスタマーのデータ戦略においてミッションをいかに達成するかが問われている」とも語っていた。

続いて、米Snowflake プロダクト担当上級副社長のChristian Kleinerman氏が技術動向の紹介を行った。同氏は、同社がデータアナリティクス、コラボレーションの改革に注力してきたが、今は第3の改革として、アプリケーション開発に取り組んでいると述べた。

  • 米Snowflake プロダクト担当上級副社長 Christian Kleinerman氏

Kleinerman氏は、「プラットフォームの中核」を成す技術として、クロスクラウドのコラボレーション、ガバナンス、事業継続性を実現する「Snowgrid」を紹介した。「Snowgrid」では、ETLを使わずにデータ・サービス・アプリケーションの共有をグローバルで実現し、ポリシーやタグをユーザーやワークロードに対し一貫して適用する。

データのレプリケーションは別のリージョンに対しても行え、「Snowgridではフェールオーバー/バック、再接続までサポートできるので、ユーザーは最大の可用性を手にしてもらえる」と、Kleinerman氏は述べた。

  • Snowgridは、プライバシーを確保した形でデータコラボレーションを実現できる

Kleinerman氏はエンジンのパフォーマンスについても言及した。同社のデータクラウドでは、データは単一ながら、ストレージとコンピュートを切り分けて、アクティビティ別にコンピュートを割り当てることができる。「従来の技術ではできなかったこと」と、同氏は語った。

チャージはコンピュートの利用時間に応じて行われるため、コンピュートのエンジンが速くなればなるほど、料金は安くなる。直近3年間で、20%を超える平均コストの削減を顧客のウェアハウスクエリで実現しているそうだ。

そして、同社が注力しているアプリ開発の改革に向けては、データクラウド上の開発環境の整備を進めている。その理由について、Kleinerman氏は次のように説明した。

「ここにきて、新しいアプリケーションもデータを活用したいという状況が生まれている。ただし、Snowflakeの外でアプリが作られると、ガバナンスの課題が生まれる。そこで、アプリをSnowflakeの中で作れば、ガバナンスやセキュリティなど、われわれのデータを保護する仕組みを生かせるのではないかと考えた」

スノーフレイクは、Snowflake向けの開発フレームワークとして「Snowpark」を提供している。Snowparkでは、複雑なデータパイプラインを簡単に構築すること、開発者がデータを移動させることなく直接Snowflakeとやり取りすることが可能だ。開発者は、SnowparkにおいてScalaやPythonを使って、アプリケーションを開発できる。

「Snowpark for Python」は2022年6月にパブリックプレビューとして公開され、同年11月に一般公開された。Kleinerman氏は、「Snowparkを利用することで、ユーザーはアプリケーションを高速化してコストを削減している。経済性を改善し、パイプラインの高速化を図ることが可能だ」と述べた。

Kleinerman氏は、リリースが予定されているSnowpark向けに最適化されたウェアハウスについても言及した(Amazon Web Servicesでパブリックプレビュー中)。このウェアハウスはCPU、メモリ、I/Oの最適化などをやってくれるものだという。

ウェアハウスの活用により、Pythonを使用する開発者はメモリ負荷の大きなオペレーションをSnowflakeで直接実行すること、Pythonワークシート(プライベートプレビュー中)を用いてSnowflake内でアプリケーション、データパイプライン、MLモデルを開発することが可能になるとのことだ。

  • データクラウドにおけるアプリ開発

Kleinerman氏は最後に、「われわれの強みは何か。それは、単一のプロダクトを提供していること。だから、Snowflakeでは、インフラを心配しないでデータを活用できる。強調したいのはコンテンツの重要さ。進化を続ける中でコンテンツは重要となる。われわれはコンテンツのためのテクノロジーを提供する」と述べて、基調講演を締めくくった。