Googleが対話型AI「Bard」の公開が遅れた理由は、「まだ製品としての準備ができていなかったから」--。Googleを傘下に持つAlphabetでチェアマンを務めるJohn Hennessy氏が、ベンチャーキャピタル(VC)のイベントで発言した。

Hennessy氏は2018年、Eric Schmidt氏の後任としてAlphabetのチェアマンに就任した。MIPS Technologiesを創業するなど、テック業界でキャリアと実績を持つ人物で、スタンフォード大学の学長を務めた経験もある。

Hennessy氏は2月13日、米サンフランシスコでCelesta Capitalが開催したイベント「TechSurge」に出席し、対話型AIのブームについてコメントした。

現在の対話型AIのブームは、OpenAIが2022年11月末に公開した「ChatGPT」が引き金になっている。

米Microsoftは2019年よりOpenAIと提携関係にあり、2月7日にはChatGPTを統合した「Bing」を発表した。対話型AIは検索のあり方を変えると言われており、Google内部では「Code Red」として危機感を募らせていると報じられていた。

Googleはその前日、自社LaMDA(Language Model for Dialogue Applications)をベースとした「Bard」を発表、しかし株価は9%下がった。

Hennessy氏はGoogleがBard公開に時間を要した理由について「まだ製品としての準備ができていないと考えたからだろう」と述べた。

対話型AIはまだ「間違った回答をすることがある」とも述べたという。そして、このような対話型AIが多くの人にとって役に立つツールになるのは、「1~2年先」と予想したという。

「誤った答えを出したり、有害なことをいうシステムを(製品として世に)出したいとは思わないはずだ」とHennessy氏。同氏は「これらのモデルはまだ早期段階にある。どのようにして製品の流れに組み込んでいくのか、正確さに敏感な方法で行う方法を見出す必要がある」とコメントしている。

同氏は、TCP/IPプロトコルの開発に関わり、Googleで最高インターネットエバンジェリストを務めるVinton G. Cerf("Vint Cerf"の愛称で知られる)氏が当時、インターネットを使って人々が悪いことをするなど思いもしなかっただろう」とも述べている。

そして、Hennessy氏は「民主主義が機能し、人々が共に生活し、共に働き、憎しみなどの有害なものを持たないようにするために、テクノロジーがどのような役割を果たすのかを考える必要がある」と、慎重な考えを述べたという。なお、一連の報道は2月13日付でCNBCが報じている。