メドピアが2月13日に発表した「医師のリアルワールドデータ利用意向に関する調査」の結果によると、医師の約5割が何らかの形で利用したことがあり、実際に用いたデータは電子カルテ・データが最も多い。

同調査は同社が1月6~7日の2日間に、医師専用コミュニティ・サイトである「MedPeer」の医師会員1054人に対して、医療ビッグデータの1つであるリアルワールドデータ(RWD)に関する利用状況や利用意向などを調査したもの。

利用状況を尋ねると、「名前程度しか知らなかった」が33.0%で最も多かった。一方で、「用いられている論文等を参考にしたことがある」(24.1%)、「実際に自分でデータを用いた分析をしたことがある」(14.8%)、「自分でデータを分析したことはないが、他者の分析結果を利用したことがある」(7.3%)など、リアルワールドデータを実際に分析に用いたり情報収集の段階で目にしたりしたことがある医師が、46.2%に上る。

実際に自分でデータを用いた分析をしたことがある医師に分析に利用したデータを聞いたところ、自身が所属している病院の電子カルテ・データが40.1%で最多だった。

  • 利活用に関する自身の状況と分析に用いたデータ 出典: メドピア

リアルワールドデータについて「名前しか知らなかった」という回答者を除く医師に、リアルワールドデータを用いる意義を説明できるか尋ねると、「説明できる」が(9.2%)、「だいたい説明できる」(45.0%)で、過半数となる54.2%が説明できると答えており、リアルワールドデータに関して一定の割合で医師の理解が進んでいると同社は見る。

リアルワールドデータを用いる意義では、「臨床での診断・治療の適正化」(24.7%)と「臨床での診断・治療の効率化」(22.4%)が多い。

  • リアルワールドデータを用いる意義 出典: メドピア

回答者全体にリアルワールドデータの利用意向を尋ねたところ、「利用してみたい」が59.6%に上り、多くの医師は利用してみたいと考えている。

一方で、「わからない」との回答が36.8%あり、リアルワールドデータの意義について「説明できない」との回答が6.4%あったことから、「わからない」にも回答が集まったと同社は推測する。

  • リアルワールドデータの利用意向 出典: メドピア

同社が1月31日に開催した製薬企業のマーケティング・メディカルアフェアーズ向けセミナーで今回の調査結果を公開し、参加者にアンケートを実施したところ、約半数の医師がリアルワールドデータを利用したことがあるとの結果に対しては、自身の想定よりも高い/低いの双方の意見があり、実態について共通認識がまだ確立していないと同社は見ている。

また、製薬企業の担当者がリアルワールドデータに関して業務で感じている課題については「自社内のノウハウ/ナレッジ」「利用に関しての社内制度の整備」などが挙がり、医師と同様に製薬企業でも理解が進んでいない現状がわかったという。

こうした調査やセミナーでのアンケート結果を受けて同社は、リアルワールドデータに関しては共通認識の醸成やノウハウ/ナレッジを繰り返し発信していくことの必要性を改めて認識したとしている。