アドビは2月7日、令和4年分の確定申告を予定している会社員500名を対象にデジタル活用状況や帳票管理に関する実態調査の結果を発表した。この結果は、2023年に確定申告を予定している20~59歳の男女500人を対象に、2022年12月に実施したインターネット調査の結果に基づくもの。

  • 確定申告時に必要な領収書や請求書などの保管方法

    確定申告時に必要な領収書や請求書などの保管方法 資料:アドビ

確定申告の経験者に対して資料準備や申告作業が負担となっているかを聞いたところ、「とても負担に感じる」が37.9%、「どちらかというと負担に感じる」が48.0%と、合わせて85.9%が負担に感じると回答した。

領収書や請求書などの保管方法を尋ねると、「紙のままファイルなどでまとめて保管」が53.0%で最多となり、「特に決めていない」が21.2%で続いた。一方、デジタルデータとして保管しているという回答は25.6%にとどまった。これら結果について、アドビは情報の検索性の低さが資料準備や申告作業に手間をとるといった負担の一因になっているとみている。

また、領収書や請求書などを「紙書類」で管理している層に対し、紙書類を減らしたいか聞くと、「とても思う」が40.3%、「どちらかというと思う」が48.3%で、合わせて88.6%がペーパーレス化の考えを持っていた。一方で、思うようにペーパーレス化ができているかを尋ねると、「全くできていない」が17.7%、「どちらかというとできていない」が35.9%と、半数以上が思うように実行できていない結果となった。

  • 紙書類」を少しでも減らしたいと思う?

    「紙書類」を少しでも減らしたいと思う? 資料:アドビ

その理由としては、「対応する時間がない」(34.8%)が最も多く上がった。続いて、「ソフトや機器購入に費用がかかる」(25.2%)、「何をしてよいかわからない」(22.2%)と時間や知識の不足が主な要因に挙がった。

一方で、紙文書をスキャンして文字データに変換する「OCR(光学文字認識)」機能については、全体の半数以上(55.2%)が「知っている」ものの、「使ったことがある」と回答したのは全体の29.2%。7割以上がOCR機能を活用していなかった。

  • 「OCR(光学文字認識)」機能を知っている?

    「OCR(光学文字認識)」機能を知っている? 資料:アドビ

確定申告を行う予定の会社員の副業実施率を調べると、41.4%が副業をしていると回答。確定申告を行う理由を尋ねると、「医療費控除を受けるため」が29.2%、「副業等の所得合計が20万円を超えるため」が25.4%、「寄付金(ふるさと納税)を受けるため」が23.4%と、副業が申告理由における大きな要因となっていた。

  • 確定申告の申請方法はどの方式を予定している?

    確定申告の申請方法はどの方式を予定している? 資料:アドビ

確定申告の作成や申告方法に関する理解度については、副業者の79.7%が「とても理解できている」、もしくは「どちらかというと理解できている」と回答し、副業をしていない層の54.3%と比べて25%以上高い結果となった。

確定申告の申請方法については、副業者は約3人に2人の67.1%が「e-Taxを利用する(PC利用)」もしくは「e-Taxを利用する(スマートフォン利用)」で申請すると回答し、副業をしていない層の49.5%と比べて20%近く高かった。さらに、「マイナポータル連携」機能の利用予定者についても副業者は70.0%、副業をしていない層は32.1%と倍以上の開きがあった。

  • 「マイナポータル連携」を利用する?

    「マイナポータル連携」を利用する? 資料:アドビ

これらの調査結果を受け、アドビのデジタルメディア事業統括本部 ビジネスデベロップメントマネージャー・岩松健史氏は、「今回の調査では、確定申告を行う予定の会社員の4割以上が副業をしているなど、働き方の多様化が垣間見えた。スマートフォンを活用して申請をデジタル上で完結するなど効率化が進む一方で、帳票管理を大半が紙で行っており、書類を探すのに手間取り管理が面倒といった課題も明らかになった」とコメントを寄せている。