米Red Hatと米オラクルは1月31日(現地時間)、オラクルのクラウドプラットフォーム「Oracle Cloud Infrastructure」(OCI)上で動作するオペレーティングシステムの選択肢拡大を提供するため、複数段階にわたる協業を発表した。

協業の第1弾として、レッドハットが提供しているLinuxディストリビューション「Red Hat Enterprise Linux」(以下、RHEL)がOCI上で動作するOSとしてサポートされる。これにより、ユーザーはRHELで既に実行されている既存のワークロードを「Red Hat Enterprise Linux on OCI」に移行することが可能になる。

オラクルもRHELをベースとしたLinuxディストリビューション「Oracle Linux」を提供しており、Linux市場では競合関係にある両社が手を組んだことになる。

今回の協業について、米オラクル Oracle Cloud Infrastructure プロダクト・マネジメント担当バイスプレジデントのLeo Leung氏は、次のように説明した。

「今回の協業は非常にエキサイティングなニュース。Fortuneにランクインしている企業の9割がRed Hatとオラクルの製品を使っているので、協業は多くの企業にメリットをもたらす。OCIのOSの選択肢が広がり、Red Hatによって動作が確認されたLinuxでワークロードが動くようになる。また、両社による共同のサポートが受けられる点もメリット」

  • 米オラクル Oracle Cloud Infrastructure プロダクト・マネジメント担当バイスプレジデント Leo Leung氏

RHELは、AMDやIntel、Armプロセッサを使用する最新のOCI仮想マシン・シェイプでサポートされる。RHELのバージョンによって、対応しているプロセッサが異なる。

  • Oracle Cloud Infrastructureで稼働するRed Hat Enterprise Linuxのバージョン

OCIにRHELをデプロイする際、まずはサポートされている形式でRHELのイメージをダウンロードする。次に、そのイメージをOCIのオブジェクトストレージにアップロードして、OCI Computeにイメージをインポートする。最後に、OCI仮想マシンを起動する。

  • Oracle Cloud InfrastructureにRed Hat Enterprise Linuxをデプロイする際の手順

Leo Leung氏はOCIでRHELを実行するメリットを4つ挙げた。1つ目のメリットは、「必要な場所でワークロードを実行できるようになること」だ。パブリッククラウド、ハイブリッドクラウド、ガバメントクラウドなどの専用クラウドなど、適材適所でワークロードを実行することが可能になる。Leung氏は、今年後半にリリースが予定されている「Oracle Alloy」でも利用可能であり、「ユーザーのカスタマイズ性を実現するもの」とアピールした。

2つ目のメリットは「迅速にクラウドへ移行できること」だ。Leung氏は、必要に応じて迅速にRHELベースのワークロードをOCIに移行することに加え、Red Hatが提供している同じイメージがサポートされているtまえ、Red HatのエクスピリエンスがOCIでも担保されることを強調した。

3つ目のメリットは「柔軟な仮想マシン・シェイプを利用できること」だ。OCIは1CPU単位で拡張でき、CPUごとに1GBずつスケール可能であるため、仮想マシンを柔軟に拡張できることを強みとしている。この柔軟性をRHELでも活用できることになる。

4つ目のメリットは、「OracleおよびRed Hatによる認定とサポートの提供」だ。両社は、サポートされているOCIの構成において、RHELを共同で認定するとともに、OCI上のRHELのサポートサービスを提供する。Leung氏は「サポートを受けたい場合、オラクルとRed Hatのどちらに連絡をしてもよい」と語っていた。