“アシストスーツ”と呼ばれる、人間の腰などにかかる負担を軽減する補助機器を販売している4社が設立した「アシストスーツ協会」は1月20日、「アシストスーツ サミット」という合同展示会を東京都渋谷区内で開催し、「国内などでのアシストスーツ市場の拡大を共同で協力して進める」と宣言した。
このアシストスーツ協会(英語表記はJapan Assist-suit. Organization)は、アルケリス(横浜市)、イノフィス(東京都新宿区)、加地(島根県仁多郡奥出雲町)、ダイドー(大阪府河内長野市)の4社が立ち上げたもので、日本国内での市場拡大を目指して、「アシストスーツの認知度を高めるために、日本各地で“出張合同体験会”を開催するなどの販売促進活動を合同で実施する」と、同協会の飯田成晃代表理事は説明した(図1)。飯田代表理事はアルケリスのCOO(最高執行責任者)を務めている(注1)。
注1:アシストスーツ協会(英語表記はJapan Assist-suit. Organization)は2022年11月11日に任意団体として、アルケリス(横浜市)、イノフィス(東京都新宿区)、加地(横浜市)、ダイドー(大阪府河内長野市)の4社が設立した。代表理事には、アルケリスの飯田成晃COOが就任し、理事にはイノフィスの長澤幸祐氏、加地の中西洋介氏、ダイドーの西裕貴氏が就任した
新型コロナが日本国内で感染拡大し約3年を経た現在、「国内での労働環境は人出不足や労働者の高齢化などによって、各工場や現場などでの作業環境の改善がますます強く求められている。このため現在は、人手作業時の身体への負荷低減ニーズが強くなっている。こうした労働環境改善ニーズに答えるために、アシストスーツ協会を立ち上げ、各社協力し合って合同展示・体験会を各地で開催するなどの販売促進活動を協力して開催していく」と、飯田代表理事は説明した。
飯田代表理事の挨拶の後に、同協会に参加した各社の代表者が並んで、記念撮影に応じた。この記念撮影では、アルケリスの藤澤秀行代表取締役社長、イノフィスの折原大吾代表取締役社長、飯田代表理事、加地の潮谷俊之取締役、ダイドーの追田尚幸代表取締役社長が並び、さらに日本シグマックス(東京都新宿区)の大島浩ウェルネス事業部スペシャリストの6人が、それぞれ自社のアシストスーツ製品を手に持って、記念撮影に応じた(図2)。なお、日本シグマックスは、この時点ではまだ同協会には未加入である。
この合同展示会会場には、各社の展示ブースが設けられ、各社の製品の特徴などを説明した。アルケリスのブースでは「我々の製品は姿勢時の下半身を支える“歩けるイス”というコンセプトの補助機器で、装着すると腿(もも)20%・脛(すね)30%、足の裏50%の荷重分布で支える(図3)」と説明していたほか、「病院の手術現場などでは、手術中は長い間、立ち姿勢のままで手術するなど身体への負担が大きい。このニーズに、モーターなどの補助力なしで、炭素繊維強化プラスチック(FRP)製をベースにした補助的な機器を人間工学に基づいて開発した」と説明を続けた。
イノフィスのブースでは「製造業のBASFジャパンの導入事例として同社の製品『マッスルスーツ エブリィ』を装着した作業時には、原料などの積み下ろし作業で負担を軽減した実例・実績」を説明していた。
ダイドーの展示ブースでは「我々の製品をブドウ収穫などの立ち作業が多い農業現場の地域に、今は販売促進をかけている。イノフィスとは製品が競合するケースもあるが、地方の農協などの場で、合同で使い方の説明会を開くと、高齢化が進んでいる農業現場では、受け入れられるケースもあり、合同説明会は販売促進の効果を上げている」と語った。「高齢化が進む地方の道府県では、地方自治体の補助金が交付されるケースも増え、当該地域での農業生産能力の維持に懸命な地域が増えている」と背景を説明する。