作成された画像を解析したところ、円盤の中心付近に存在するガスが出す電波から、これまでの感度でははっきりとは確認できなかった特徴を捉えることに成功したとする。その特徴は、惑星の大気のような、ガスの密度が非常に高い場所から放射される電波とよく似ていたという。これは、円盤の中心近くにあるガスの密度は、惑星の大気と同じくらい高くなっていたことを示すとする。

さらに解析が進められた結果、太陽系における木星軌道にあたる中心からおよそ5天文単位より内側の領域に、木星の質量の7倍にも相当する大量のガスが存在することが判明したともする。今回の対象となったうみへび座TW星は、原始惑星系円盤を持つほかの若い星よりも年齢が高く、そのためこれほど大量のガスが存在するとは予想されていなかったと研究チームでは説明している。

また、うみへび座TW星の過去の観測データと比較すると、木星軌道より内側に存在するガスの量が急激に多くなっていることも確認されたという。ガスは、時間の経過とともに円盤の内側へとゆっくり移動していると考えられているが、その移動速度が急に変化すると、ある特定の場所にガスが溜まる。このことは、惑星形成の材料となるガスが木星軌道付近に集積し、惑星系の形成を促進していることを示しているとした。

  • うみへび座TW星周りのガスの分布の想像図

    うみへび座TW星周りのガスの分布の想像図。木星軌道付近より内側の場所では、その外側と比較して、ガスの量が格段に多くなっている (C)ALMA(ESO/NAOJ/NRAO) (出所:NAOJ Webサイト)

なお、研究チームでは今後、今回と同様の手法をほかの原始惑星系円盤にも適用し、さまざまな特徴、さまざまな年齢の円盤に存在するガスの量を調べて、ガスが失われる過程や惑星系が形成される過程を明らかにしていきたいとしている。