リコーは1月12日から、これまで協業パートナーを中心に試験導入・開発を進めてきたビジュアルコミュニケーションシステム「piglyph(ピグリフ)」について、より幅広い顧客が活用できるよう改良を加えたβ版の提供を開始する。1月11日には、同サービスのメディア向け体験会を開催した。

  • 1月12日からβ版の提供が開始されるリコーのビジュアルコミュニケーションツール「piglyph(ピグリフ)」

    1月12日からβ版の提供が開始されるリコーのビジュアルコミュニケーションツール「piglyph(ピグリフ)」(出典:リコー)

対話をグラフィックに変換し活性化させるツール「piglyph」

リコーがβ版の提供を開始するpiglyphは、音声や入力された文字に紐づいたイラストやグラフィックがリアルタイムで画面上に表示され、それを選択して画面上に配置することで、より活性化した対話を実現するコミュニケーションシステム。同社が主催し、社内外から集まったアイデアをイノベーションにつなげるアクセラレータプログラム「TRIBUS」での選定を契機に開発が進められ、2021年6月には同システムの価値検証として、角川ドワンゴ学園N高等学校などの教育現場での活用開始が発表された。

piglyphの特徴としては、発言をリアルタイムで文字に変換すると同時に、随時イラストを提案する点が挙げられる。これを活用することで、会議の流れを可視化して蓄積することができるため、参加者すべてを置いていかずに対話を進めることが可能になるという。また、イラストなどの視覚的デザインを活用して表現することが可能なため、言葉では伝わりにくい内容やニュアンスを表現できる点もメリットに挙げられる。

幅広いビジネスシーンでの活用に向けUIを刷新

そして今回のリニューアルでは、価値検証のフィードバックとして寄せられた意見を受け、会話の文字起こしとホワイトボード機能が並立した形式にUIを刷新。また、ビジネスでの利用で使いやすいテンプレートなども追加搭載された。

  • piglyphのβ版の操作方法

    piglyphのβ版の操作方法

  • 11日の体験会では質疑応答などもpiglyphを活用して行われ、音声での回答に加えてイラストでの可視化が行われた

    11日の体験会では質疑応答などもpiglyphを活用して行われ、音声での回答に加えてイラストでの可視化が行われた

さらに同サービスは、代表者が画面を一元管理して操作する方法に加えて、複数人での同時編集も可能(推奨人数は8名以内)で、URLを共有することでリモートでの参加も可能になるという。後者の方法は、特にブレインストーミングのような場での活用に適しているとのことだ。

入力された会議データは「ルーム」として保管され、それぞれの会議体に分けて保管することも可能だ。併せて、会議で使用されたホワイトボード画面は、その全体を画像として保存することも可能だ。

  • ルームの作成・編集はユーザが自由に行うことができる

    ルームの作成・編集はユーザが自由に行うことができる(出典:リコー)

piglyphのコンセプトは「言葉の壁を越えて自由に意思疎通できる世界を実現する」

piglyphの開発リーダーを務める渡辺恵里氏は、そのビジョンを「言葉の壁を越えて自由に意思疎通できる世界を実現する」ことだとし、「しゃべった言葉や頭の中の考えをそのまま画面上に貼り付けて、対話の内容を見える化できるツールにしていきたい」と目標を語る。また、イラストなどを用いて対話を可視化することのメリットとして「よりポジティブな方向へと対話が進んでいきやすい」点を挙げ、柔軟な発想が必要とされるオープンイノベーションの場に限らず、面談のような形式でもその価値を発揮するとした。

  • リコーが目指すpiglyphの貢献領域

    リコーが目指すpiglyphの貢献領域(提供:リコー)