競合がひしめくQRコード決済の市場にあって、NTTドコモの「d払い」は右肩上がりの成長を見せている。しかし、さらに事業を拡大していくためにはユーザーやパートナーへ高い価値を提供し続ける必要があると考えていた。その実現のために取り組んだのが、データの民主化だ。

11月10日、11日に開催された「TECH+ EXPO 2022 Winter for データ活用 戦略的な意思決定を導く」に、NTTドコモ スマートライフカンパニーウォレットサービス部長の田原務氏が登壇。「『d払い』で進めるデータの民主化の取り組み」と題し、講演を行った。

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ユーザーと加盟店にさらなる価値を、データ民主化に取り組む背景

d払いは、携帯電話大手のNTTドコモが2018年4月に開始したQRコード/バーコード決済サービスだ。NTTドコモユーザー以外でも利用でき、使用することで「dポイント」を貯められる。d払いが可能な店舗はオンラインも含め、2022年9月末時点では431万カ所。支払いに使うだけではなく、クーポン、モバイルオーダー、請求書払いなどの機能もあり、7月にはdスマホローンの機能も新たに加わった。

  • d払いのサービス概要

d払いのユーザー数は4767万(2022年9月時点)、取扱高は1兆2560億円(2021年)。取引高が1年で1.5倍になるなど、ユーザー数、取引高ともにサービス開始以来順調に成長している。また、dポイントはユーザー9000万人を超える日本最大級のポイントプログラムであり、「直近1年のポイント発行量は約3000億ポイントになっている」と田原氏は説明する。

このように、d払いは順調に拡大しているが、今後の事業拡大についてはユーザー視点・パートナー視点ともにさらなる取り組みが必要と感じているそうだ。

「今後さらに事業を拡大していくためには、ユーザーであるお客さま、加盟店などのパートナーさまに高い価値を提供していく必要があります。事業を拡大し、成長を加速させるためには、事業運営の各プロセスにおいて、データを活用することが鍵になるのです」(田原氏)

状況把握、課題発見、要因分析、仮説、企画立案、実行というそれぞれの場面でデータを駆使していくことで、アクションの効果を高め、成長を加速することができるという考えの下、同社ではデータの民主化を推進し始めた。