昨年12月に住友化学が東京本社にオープンした「SYNERGYCA(シナジカ)共創ラウンジ」(以下、SYNERGYCA)。今年10月には「2022年度グッドデザイン賞」において同社初となる「産業向け意識改善・マネジメント・取り組み」のカテゴリーで受賞するなど、周囲の評価も高いようだ。今回、同ラウンジの意図や狙い、そして開設から1年が経過した成果について話を聞いた。
“共創のための共創”で生まれたSYNERGYCA
住友化学と言えば、1913年に設立した日本を代表するグローバルの大手総合化学メーカーだ。設立の背景としては設立当時、銅の製錬に伴い発生する排出ガスから肥料を製造し、環境問題克服と農産物の増産をともに図ることから誕生した。
身近なものとしては、食品や洗剤などのパウチ包装に使用されるポリエチレンやディスプレイ材料の偏光フィルムをはじめ、生活に密着した製品・サービスなどを提供している。 SYNERGYCAのプロジェクトがスタートしたのは2020年。主導したのは住友化学 技術・研究企画部 担当部長 企業共創企画、技術企画 SYNERGYCA 共創ラウンド ダイレクター 博士(化学)のクナップ・カルロス氏が所属する技術・研究企画部だ。
同社の技術部・研究企画部と外部のデザイナーなどで組成したプロジェクトだが、スタート当初において新型コロナウイルスの感染が拡大。プロジェクトのやり取り自体はZoomに移行したものの、スムーズなコミュニケーションによりオープンに至っている。
こうした人・企業とともに、さまざまなやり取りで生まれたものがSYNERGYCAというわけだ。クナップ氏は「われわれと外部のデザイナーによる“共創のための共創”でSYNERGYCAは誕生したのです」と振り返る。
同ラウンジにさまざまな仕掛けやギミックを用意することで、ストレスフリーな議論を促しているが、多様な人、企業が関わっている点もSYNERGYCAの特徴。こうしたスペースの整備に際して、外部のファシリテーターを活用することは珍しいという。以下は、SYNERGYCAのプロジェクトに携わった人物・企業だ。
柴田文江氏:デザイン監修
コクヨ:施設のプロデュース、プロジェクトマネジメント、空間の設計・デザインや施工など
住友不動産:空間の施工
コンセント:共創プログラムの顧客体験構築、デジタルやバーチャルのコンテンツ企画・制作など
D2C ID:デジタルコンテンツの企画・制作、サウンドプロダクションなど
スマイルズ:コピーライティング(施設名)、ビジュアルアイデンティティー(ロゴ、カラーなど)
vivito:企業紹介ムービーの企画・制作
フューチャーセッションズ:共創プログラムの進め方設計、ファシリテーション
住化技術情報センター:レコーディング