解析にはまず、分子構造やコンホメーションの情報を得られる、水素原子(陽子)の持つ核スピンを利用した核磁気共鳴分光法(1H-NMR)が用いられた。そして、バイオIOSの長さの異なる2本のアルキル鎖が水中で同じ方向を向き、またその根元部分は固定された状態であることが確認されたという。

また、官能基の情報を得られるフーリエ変換赤外分光法(FT-IR)を用いた解析も行われた。その結果、バイオIOSの「スルホ基(-SO3-)」と水酸基(-OH)との間で、分子内水素結合が生じていることが明らかにされ、大きな環状の親水部を形成していることが示唆されたという。

  • 一般的な界面活性剤とバイオIOSの界面活性と水溶性

    一般的な界面活性剤とバイオIOSの界面活性と水溶性 (出所:花王プレスリリースPDF)

長いアルキル鎖を持った一般的な界面活性剤は、アルキル鎖が凝集してしまうために水に溶けにくくなる。一方でバイオIOSは、大きな環状の親水部と、長さの異なるアルキル鎖が同じ方向を向いて固定されることにより、アルキル鎖は親油基として働きつつも、その凝集性が妨げられ、界面活性と水溶性を高いレベルで両立することに成功したものと推察されたという。

  • バイオIOSの水中での存在状態

    バイオIOSの水中での存在状態 (出所:花王プレスリリースPDF)

なお、同社ではバイオIOSを配合した衣料用濃縮液体洗剤(製品名:アタックZERO)をすでに販売中であるが、今後も、物事の本質を追究する基盤技術研究を通じて、人や地球に真に優しいものづくりを進め、将来にわたって人々に清潔な生活を提供していくとしている。