日本ヒューレット・パッカード(HPE)は11月25日、都内で開催した「HPE Discover More 東京 2022」において次世代サーバ製品「HPE ProLiant Gen11サーバ」の5機種を発表した。いずれも同日に提供を開始している。

今回、発表された新サーバは「HPE ProLiant DL325 Gen11」「HPE ProLiant DL345 Gen11」「HPE ProLiant DL365 Gen11」「HPE ProLiant DL385 Gen11」と、クラウドネイティブプロセッサの「Ampere Altra」と「Ampere Altra Max Cloud Native Processors」を搭載した「HPE ProLiant RL300 Gen11」の5機種。

  • 「HPE ProLiant Gen11サーバ」の外観

    「HPE ProLiant Gen11サーバ」の外観

  • 「HPE ProLiant Gen11サーバ」の概要

    「HPE ProLiant Gen11サーバ」の概要

日本ヒューレット・パッカード デジタルセールス・サーバー事業統括本部 サーバー製品本部 ビジネス開発部 部長の阿部敬則氏は「ハイブリッドクラウドや新サービスを生み出すエッジコンピューティングをはじめ、IT環境は年々ハイブリッドになっており、サーバの管理が複雑になっている。また、セキュリティも懸念され、大量のデータを意味のある形で価値を生み出すための性能要求もとどまることを知らず、IT支出やコスト最適化に日々頭を悩ましている」と指摘。

  • 日本ヒューレット・パッカード デジタルセールス・サーバー事業統括本部 サーバー製品本部 ビジネス開発部 部長の阿部敬則氏

    日本ヒューレット・パッカード デジタルセールス・サーバー事業統括本部 サーバー製品本部 ビジネス開発部 部長の阿部敬則氏

そして、同氏は「こうした環境下においてサーバも現状のままではいられないことから、時代、環境、お客さまの期待の一歩先を行くサーバとしてHPE ProLiant Gen11サーバの提供を開始する」と力を込める。

「HPE ProLiant Gen11サーバ」、3つの特徴

阿部氏は、新サーバの特徴として「直感的なクラウド型の運用管理」「安心のセキュリティ・バイデザイン」「最適化されたワークロード性能の提供」の3点を挙げる。

直感的については、クラウド型の管理サービス「HPE GreenLake for Compute Ops Management」でサブスクリプションで提供。データセンターやオフィス、エッジ環境のサーバで従来は必要とされていた管理サーバを構築することなく、どこからでも管理できるとともに新機能は即時実装される。

また、単一コンソールからのユーザー自身で管理し、サーバのヘルス、ファームウェア状態の確認を可能としており、カーボンフットプリントレポート機能で個々のサーバや環境全体の電力使用量を監視し、CO2の排出量に換算した指標を得ることができるという。

手作業を削減するとともに自動化による業務効率の向上が図れ、障害の自動通報機能(近日中に提供開始予定)を有する。

  • 新サーバは直感的な運用管理を実現するという

    新サーバは直感的な運用管理を実現するという

セキュリティ・バイデザインに関しては、従来のGen10サーバーにおいてHPE Silicon Root of Trust(シリコンレベルの信頼性)により、サーバに固有のデジタル指紋を焼き付け、数百万行におよぶファームウェアコードをマルウェアやランサムウェアから保護。現在、HPE Silicon Root of Trustは、グローバルにおいての400万台のHPEサーバのセキュリティを保っている。さらに、新サーバではプラットフォーム証明書、IDevID(デバイス識別用証明書)、TPM(Trusted Platform Module)を標準実装し、セキュリティを強化している。

さらに、リモートサーバ管理チップ「HPE Integrated Lights-Out(iLO)」の新バージョンであるiLO 6により、保護の対象をパートナーエコシステムにまで拡大し、デバイスコンポーネントの検証および認証を実行。業界標準規格のSPDM(Security Protocol and Data Model)を用いたPCIeのコンポーネント認証を実装。

  • 新たな認証を標準実装し、セキュリティを強化

    新たな認証を標準実装し、セキュリティを強化

最適化されたワークロード性能については、第4世代AMD EPYCプロセッサ、第4世代インテル Xeon Scalableプロセッサ、Ampere Altra、Ampere Altra Max Cloud Native Processorをサポート。前世代と比較して2倍のI/O帯域幅、CPUあたり50%増のコア数、サーバあたり33%増の高性能GPU密度を実現し、最大43%の電力効率を向上できるという。

  • ワークロード性能を最適化している

    ワークロード性能を最適化している

管理のための管理から解放

日本AMD コマーシャル営業本部 セールスエンジニアリング担当マネージャーの関根正人氏は第4世代AMD EPYCプロセッサについて「CPUコアは最大96個、5nmプロセスを採用し、インタフェースはPCIe 5.0、CXL(Computer xpress Link)メモリ拡張、12チャネルのDDR5を備えるなど、機能が盛沢山のプロセッサになっている」と説明した。

  • 日本AMD コマーシャル営業本部 セールスエンジニアリング担当マネージャーの関根正人

    日本AMD コマーシャル営業本部 セールスエンジニアリング担当マネージャーの関根正人

AI、分析、クラウドネイティブアプリケーション、グラフィック集約型アプリケーション、機械学習、仮想デスクトップインフラ(VDI)、仮想化などのワークロードに対して、アクセラレータの活用を可能としている。

新サーバの提供開始に合わせて、最長7年間までのサポートサービスメニューも提供を開始した。将来的には「Secure Location」として政府機関、金融、医療系など、入退出・接続・電子的なアクセスなどについて厳格なセキュリティ対応が必要なる場所のサポートオプションの提供を予定している。

  • サポートも拡充した

    サポートも拡充した

そのほか、「HPEスマートクーリングソリューション」はハイエンドプロセッサ向けに設計された液体ループ型の冷却ソリューションのオプションとなり、1U、1プロセッサ構成のDL325では320W以上のTDP(Thermal Design Power:熱設計電力)プロセッサも搭載が可能。

  • 「HPEスマートクーリングソリューション」の概要

    「HPEスマートクーリングソリューション」の概要

阿部氏は最後に「新サーバは、ビジネスを加速するワークロード性能を持ち、安心して長く使える設計とサービスとなっている。環境が変化していく中でサーバが生まれ変わり、運用も変わる。システム管理者における管理のための管理から解放していく」と強調していた。