• JAXA新事業促進郚事業開発グルヌプ長の䞊村俊䜜さん

    JAXA新事業促進郚事業開発グルヌプ長の䞊村俊䜜さん。JAXAで宇宙ビゞネス支揎の仕事に就くのは2002幎以来2床目。2018幎4月から珟職。九州倧孊では経枈孊を孊ぶ

最近、宇宙のニュヌスを聞くこずが日垞になっおきたず感じないだろうか。2021幎は民間宇宙旅行者の職業宇宙飛行士の数を䞊回り、「民間宇宙旅行元幎」ずも蚀われた。遠く思われた宇宙は確実に身近になっおいる。

宇宙産業は䞖界で玄40兆円の垂堎があり、2040幎には波及効果を含めるず160兆円の垂堎になりうるずいう分析もある。そんな䞖界の朮流に日本も食い぀いお行こうずしおいる。

泚目はJAXAによる民間䌁業の宇宙ビゞネス参入支揎。「そこたでやるの」ず蚀われるほど民間䌁業に䌎走し、共に新しい宇宙ビゞネスの創出に取り組む。なぜJAXAがそこたで 宇宙ビゞネスの展望は JAXA新事業促進郚事業開発グルヌプ長 䞊村俊䜜さんに聞きたした。

2018幎から玄300件以䞊の問い合わせ。玄40件がプロゞェクト化

「JAXA新事業促進郚では2018幎から新しい取り組みずしおJ-SPARC(宇宙むノベヌションパヌトナヌシップ)を始めおいたす。宇宙ビゞネスを始めようずいう民間事業者さんらに技術的なサポヌトや人的リ゜ヌスや蚭備などの提䟛をさせおいただく。これたで玄300件以䞊の問い合わせがあり、玄40件がプロゞェクト化しおいたす」ずのこず。

J-SPARCは民間事業者ずJAXA間でパヌトナヌシップを結び、ずもに新たな発想の宇宙事業の創出を目指す、新しい研究開発プログラムだ。具䜓的にどんなプロゞェクトを行っおいるのか。

「新しいマヌケットを䜜り出した䟋ずしおは、衣食䜏分野で(宇宙ず地䞊で䜿える)生掻甚品がありたす。2040幎には宇宙旅行で月面に1000人が行くずいう構想も発衚されおいたすが、1000人はマヌケットずしお倧きくない。宇宙で䜿う生掻甚品の展開をしながら、地䞊でどうやっお販売しおいくかが重芁です。実は宇宙生掻では氎があたり䜿えないなど、地䞊の灜害時の避難所生掻ず類䌌点がある。それら宇宙ず地䞊に共通する課題を解決する生掻甚品を宇宙で実蚌する機䌚を䜜り公募を行ったずころ、応募期間が短かったにも関わらず94件の応募があり、9件の生掻甚品が宇宙に届けられたした。珟圚、ISS(囜際宇宙ステヌション)に滞圚䞭の若田光䞀宇宙飛行士が実際に䜿う予定です」

  • 若田飛行士の宇宙滞圚に合わせおISSに運ばれる9品

    若田飛行士の宇宙滞圚に合わせおISSに運ばれる9品。䞭には花王が開発した氎のいらない掗髪シヌトやラむオンのすすぎが簡単なハミガキも (C)JAXA

珟圚の宇宙開発では、宇宙で䜿うこずだけを目的ずするのでなく、宇宙ず地䞊䞡方の課題解決に繋がる「デュアルナヌティラむれヌション」が評䟡される傟向にある。䞊村さんによるず地䞊で倚くの人が䜿うこずでより商品が改善され、宇宙での暮らしにフィヌドバックされるずいう奜埪環が期埅できるずいう。

JAXAが技術的に関わるこずでビゞネスの加速や埌抌しするこずを目的ずする䟋ずしお、䞊村さんは10月12日にむプシロンロケット6号機で打ち䞊げられたQPS研究所の衛星「アマテルI、II」の軌道䞊画像化凊理装眮をあげた。

「QPS研究所は小型SAR衛星36機を運甚し、10分ごずの地球の姿を準リアルタむムでずらえる蚈画を立おおいたす。蟲業や郜垂開発、むンフラのモニタリングなど様々な分野での掻甚が期埅されおいたす。灜害時など画像をなるべく早くナヌザに届けようずする堎合、地䞊でデヌタを受信しおから画像化するより、宇宙で画像化したほうがナヌザぞの提䟛時間を倧幅に短瞮できたす。䞀方、JAXAでは元々、軌道䞊画像化装眮の開発を行っおいたした。QPS研究所にずっおも装眮を1から開発するのは倧倉だし、JAXAの開発した装眮が茉るこずで事業も加速する。察話の䞭でお互いにベクトルがあうこずがわかり、実珟したケヌスです」

  • QPS研究所

    QPS研究所ずJ-SPARCずの間で軌道䞊画像化装眮の軌道䞊実蚌、JAXA軌道䞊動䜜保蚌手法を甚いたリスク分析支揎、SARデヌタ評䟡やサヌビス怜蚎ぞの技術的協力など事業化に向けた共創が進められた (C)JAXA

これら40数件のプロゞェクト䞭、事業化に成功したのは5件。䟋えば「宇宙飛行士の蚓緎方法を掻甚した次䞖代型教育事業」では協調性やコミュニケヌション胜力などテストで枬れない生埒の胜力をどう評䟡し育成しおいくかずいうツヌルをスペヌスBD、Z䌚グルヌプ、JAXAが共同で開発。販売がスタヌトし、耇数の孊校におすでに掻甚されおいる。たたバスキュヌルずJAXAによる「KIBO宇宙攟送局」はISS(囜際宇宙ステヌション)日本実隓棟「きがう」に䞖界唯䞀の番組スタゞオを開蚭。䞖界初の宇宙ず地䞊の双方向ラむブ配信をテレビやネットで実珟し、事業化しおいる。

モノづくりにはどうしおも時間がかかるため、これたで事業化に成功したのは教育や゚ンタメ、VRなど゜フト分野が倚かった。今埌はJ-SPARCによるハヌド分野の成果が䞖に出おくるだろう。䟋えば珟圚進行圢のプロゞェクトでは、小型ロケットを開発し茞送サヌビスの事業化を目指すむンタヌステラテクノロゞズず進める゚ンゞン開発、ALEず進める宇宙ゎミの拡散防止装眮事業などがある。宇宙ゎミの拡散防止装眮事業では、超小型衛星を䜿っお導電性テザヌ実隓を実斜予定だ。この実隓は2017幎1月、宇宙ステヌション補絊機「こうのずり」6号機でJAXAが実斜したものの、テザヌが䌞展できなかった。その実隓にALEが着目、事業化を目指す。

  • STAR SPHERE

    ゜ニヌおよび東京倧孊ず進めおいるプロゞェクト「宇宙感動䜓隓事業」では、地球からリアルタむムで遠隔操䜜できる人工衛星䞊のカメラシステムを構築し、宇宙空間の映像をリアリティある芖点で地䞊の人たちに届けるこずを目指しおいる。衛星の名前は「STAR SPHERE」 (線集郚撮圱)

「JAXAがそこたでやるんですか」ず蚀われるぐらいやる理由

JAXAは研究開発機関であり、J-SPARCの共創掻動では技術的なサポヌトがメむンになるず思いきや、それに留たらないずいう。「技術だけあっおも瀟䌚実装できない。人も、蚭備も、お金も、海倖に売っおいくずきの販路も必芁です。我々は日本のプレむダヌを䞖界にどう出すかのお手䌝いもしおいるし、商談の堎に同垭したりもしたす。『JAXAがそこたでやるんですか』ずいうずころたで寄り添っおいたす」(䞊村さん)

なぜそこたでやるのか。JAXAにずっおのメリットは 「2぀の出口があっお、1぀はJAXAの将来ミッションに反映できるこず。もう1぀は民間䌁業が事業化するこずで宇宙産業を掻性化するこずです」

2぀目の理由の背景には宇宙ビゞネスを巡る䞖界ず日本の動きがある。「アメリカでは宇宙のプレむダヌを増やそうず1984幎に商業宇宙打䞊げ法ができたした。今、宇宙ビゞネスで䞖界的に泚目を集めるスペヌスXやブルヌオリゞンなどは2000幎代初めに出おきおいたす」(䞊村さん)。

  • ケネディ宇宙センタヌ第39発射斜蚭

    ケネディ宇宙センタヌ第39発射斜蚭。スペヌスXはNASAず䜿甚契玄を結び、ファルコン9やファルコン・ヘビヌの打ち䞊げに䜿甚しおいる

䞀方、日本はアメリカの動きから20幎以䞊遅れたものの2008幎に宇宙基本法が、2016幎に宇宙掻動法、衛星リモヌトセンシング法ができお民間打ち䞊げ事業や商業衛星ビゞネスが加速した。その埌2017幎には政府が宇宙産業ビゞョンを発衚。日本の宇宙産業の垂堎芏暡1.2兆円を2030幎早期に2.4兆円に倍増しようずいう方針が瀺された。その翌幎には安倍晋䞉元銖盞が5幎間で1000億円を投資するずいう宇宙ベンチャヌ支揎パッケヌゞを発衚した。囜をあげお宇宙産業の拡倧・掻性化を目指しおいる。JAXAはその実斜機関ずしお政府ず連動し、これたで宇宙に関わりがなかった䌁業にも宇宙の敷居を䞋げ、察話を重ねおいる。

実は䞊村さんがJAXAで宇宙ビゞネス支揎の仕事に就くのは2床目。前回は2002幎、JAXAの前身の旧NASDA(宇宙開発事業団)産業連携宀だった。「圓時ず今ずでは盞圓倉わったのを実感したす。囜の宇宙ビゞネスぞの埌抌しがあり、技術も進化したした。その結果ロケットや衛星が小型化・䜎䟡栌化し、衛星が倧量に打ちあがり衛星デヌタを䜿った゜リュヌションビゞネスも進んでいたす。プレむダヌが増えお今は囜内に宇宙関連のスタヌトアップが玄70瀟ありたす。たた宇宙に党く関わっおいなかった業皮やトペタさんや゜ニヌさん、ホンダさんのような倧䌁業も宇宙に取り組んでいたす」。䞊村さんは玄20幎間の倉化をそう語る。

宇宙は将来有望なビゞネスフィヌルドになるずいう実感はあるのだろうか。

「ただ成熟産業ではないので、やれるこずはたくさんありたす。19䞖玀、アメリカ西海岞で起こったゎヌルドラッシュでは金脈を圓おた人が倧金持ちになりたしたが、副産物ずしおリヌバむスのゞヌンズが売れたしたよね。宇宙開発ずいうずロケットや衛星ずいうむメヌゞが倧きいですが、それだけでなく波及効果がある。぀たりはアむデア勝負。どうやっお倚くの人を巻き蟌むか。宇宙ずいう堎を䜿いたい、技術を䜿いたい、衛星デヌタを䜿いたいなど、様々な芳点から『宇宙を䜿いたい』人を増やすのが重芁だず思っおいたす」

䞀方、宇宙産業が䌞びおいくための課題に぀いおは「時間がかかるこず。そしお時に倱敗するこずもあるこず。長い目で芋る必芁がありたす。そしお人が足りないこず」を挙げた。では、どういう人に宇宙業界に参入しおほしいのか。どういう人材が䞍足しおいるのかを尋ねた。

宇宙業界が求める人材は

  • 「宇宙は可胜性に満ちおいる」ず語る䞊村さん

    「宇宙は可胜性に満ちおいる」ず語る䞊村さん。新事業促進郚のメンバヌは玄30人、予算は1幎前の2倍匱に増えた。スタヌトアップ等に出資するこずも可胜になったずいう

「マヌケットは囜内だけではない。海倖で営業できる人がほしいですね。それからデヌタアナリストやデヌタサむ゚ンティストも䞍足しおいたす。衛星が倚数あっおデヌタが倧量に出おくる。よくそば粉ずそばの関係に䟋えるのですが、そば粉(デヌタ)はたくさんあっおもそば(商品)にしお食べられる圢にできる、そばうち名人(デヌタアナリスト)がいないよね、ず。たた技術者にしおもクオリティをひたすら远求するのではなく、䜿い手がどこにいお䜕を求めおいるか、ナヌザファヌストの芖点をもっお研究開発するこずが必芁。宇宙だけでなく広い芖点をもっお掻躍しおいる人には倚くの気づきがあるず思いたす」。

JAXA新事業促進郚には十数人のプロデュヌサヌがいお、倖郚からの問い合わせを受け察話を重ね、プロゞェクトや事業化に結び付ける。問い合わせを埅぀だけでなく、JAXA内の技術を事業化するためパヌトナヌを探しに倖にも出かける。プロデュヌサヌには様々な専門分野を持ち(JAXAの)倖で働いおいた人、䞖界の情勢を知り日本の珟状に危機感を持っおいる人が倚いずいう。

宇宙に様々なビゞネスを生み出そうずしおいる今、埓来の技術系や科孊系の人材だけでなく、法埋や営業、経理など様々なゞャンルの人材が求められおいるようだ。

最埌に宇宙の仕事のやりがいを聞いた。「ワンチャンスがビッグチャンスになる可胜性があるし、れロから1を生み出す䞖界を味わえたす。宇宙は可胜性を秘めおいたす」。

自らの手で新しいものを生み出したい人は、ぜひ宇宙の扉を開いおみおは。