業務効率の改善は多くの企業が抱える喫緊の課題である。対応策の一つとして、クラウド化を検討する企業も多いだろう。コーセーもまさにそんな企業のうちの一社だ。同社では今、「クラウド化を行うための業務効率の改善」と、「クラウド化で実現する業務効率化」の2つの取り組みを進めているという。
10月25日、26日に開催された「ビジネス・フォーラム事務局×TECH+フォーラム 業務効率改善 Day 2022 Oct. 自社にいま必要な『業務効率化』を見極める」では、そんなコーセーから情報統括部 グループマネージャーの進藤広輔氏が登壇。「クラウド化に必要な業務効率化・クラウド化で実現する業務効率化」と題し、今同社で行っている取り組みについて語った。
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なぜ今、業務効率化に取り組まねばいけないのか
冒頭で進藤氏は、そもそもなぜ今、コーセーが業務効率化に取り組まないといけないのかについて簡単に説明した。まず大きな理由の1つが、社会的背景である。
「やはり新型コロナウイルス感染症の流行による影響は非常に大きいでしょう。今までの業務のやり方では、従来できていたことがなかなか実現できない時代になったのです」(進藤氏)
次に、化粧品業界の変化がある。化粧品市場は、コロナ禍によってインバウンド需要が激減したことで、大きな影響を受けた。新たな価値創造に注力するためにも、業務効率化は避けて通れない状況となっていると同氏は説明する。
そして業務効率化に取り組むべき3つ目の理由が、コーセーの現状である。同社ではコロナ禍以前からDXや働き方改革の推進に取り組んでいた。もちろんデジタルの活用をしていたものの、あくまでも顧客が来店する前提でさまざまなサービスを展開していたという。しかし現在は、オンラインでの購入をキーワードに、いかに顧客をITとデジタルでつなぐかが求められるようになってきたのだ。
改めて業務効率化とは何かを考える
では、そもそも業務効率化とは何なのだろうか。業務効率化の構成要素を分解すると、ヒト、モノ、カネ、時間、空間、情報といった経営資源の全てが構成要素となり得ることになる。つまり、「ありとあらゆるところで業務効率化を考えないといけないということだ」と進藤氏は強調する。
そのためコーセーにおける業務効率化の対象・範囲は、マーケティング系、サプライチェーン系、営業・販売系、ものづくり系、コーポレート系、そして情シス系と全社全部門に及んでいる。
「全社的に取り組んで初めて業務効率化が最大化されると見ています。全体で進めるのがポイントですし、さらに言えば、全体で進めること自体が業務効率化なのではないでしょうか。業務効率化は目的ではなく、全ての企業活動のスタート地点であると考えています」(進藤氏)