インフォアジャパンは11月2日、同社の今後の事業方針に関する記者説明会を開いた。

同社は製造業を中心に業界特化型のERP(Enterprise Resources Planning)をオンプレミスで提供するほか、ERPをSaaS(Software as a Service)で提供するソリューションとして「Infor CloudSuite」も提供している。

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2027年までに国内で100社のSaaS新規導入を目指す

現在、米Inforの顧客数はグローバルで6万7000社となり、そのうち1万4000社の企業が同社のSaaSを利用しているという。

そのうち、日本の顧客数は400社となり、新規導入とオンプレミスからの移行を併せて45社がSaaSを利用しているとのことだ。導入事例が多い業種は、自動車部品メーカー、加工組立製造、食品・飲料、化学、アパレル、消費財、物流、倉庫業などだ。

2022年4月にインフォアジャパン 代表取締役社長に就任した黒塚明彦氏は、「財務会計、管理会計といったERPに標準的に求められる機能だけでなく、生産管理やサプライチェーン管理、製造物管理、在庫管理など業界特有の業務もカバーしている点が当社のソリューションの特徴だ」と語った。

  • インフォアジャパン 代表取締役社長 黒塚明彦氏

    インフォアジャパン 代表取締役社長 黒塚明彦氏

併せて黒塚氏は、2023年以降のビジネス戦略を述べた。今後、インフォアジャパンでは2027年までに、100社でのSaaSソリューションの新規導入を目指す。

「チャレンジングな目標だが、十分達成可能なペースで営業活動を展開できると考えている。2022年度(2022年1月~12月)も既存顧客のオンプレミスからSaaSへのシフトを加速させており、すでに4つの案件が進行している。新規導入も4案件あり、年度末までにあと数社のSaaS導入を予定している」と黒塚氏は明かした。

グローバルなパートナーエコシステム構築を推進

「売上500億円~1千億円規模のDX推進を検討している企業からの引き合いが増えている」ことから、インフォアジャパンは中堅企業へのサービス提供を強化するという。

「中堅企業はIT領域における新規の投資金額にも限りがあり、組織規模的に社内の情報システム部門が新規導入を進めるのも難しい。そのため、当社のFit to Standardを提案し、早期導入と投資効果の早期享受を支援したい。当社のサービスには業種ごとの最新の要件・プロセスが反映され、さまざまな業務プロセスも事前定義されているため、個別開発を行わずとも必要機能を利用できる」(黒塚氏)

また、ERPの拡張機能として、SCM(サプライチェーン・マネジメント)、PLM(製品ライフサイクル管理)、BI(ビジネスインテリジェンス)ツールなどのソリューションの展開も強化する。

導入にあたっては、アジャイル開発をベースとした独自の開発手法「InforAgility」を活用し、導入プロジェクト開始から1年以内のシステム稼働を目指すという。

  • 米Inforが考えるシステム構築のポイント

    米Inforが考えるシステム構築のポイント

このほか、2027年の目標達成に向けて自社の導入支援部門を強化し、パートナーエコシステムも拡充する。国内では未提携なグローバルパートナーとの連携を開始し、従来は別々に実施してきた営業・導入を、インフォアジャパンとパートナーが共同で実施する販売モデルの構築も進める。

同社にはライセンスの販売・導入を担当する「チャネルパートナー」、SaaS導入における上流工程のコンサルティングなどを担当する「アライアンスパートナー」、導入支援時の技術支援を担当する「サービスパートナー」がいる。そうした既存パートナーへの営業トレーニング、コンサルティングトレーニング、技術支援も強化する。

加えて、サービスの導入スピード向上と顧客のコスト低減のため、インド、フィリピン、中国(開設予定)にあるオフショア開発拠点との連携も進める。各開発拠点は約2000人のエンジニアを擁しているが、これまでは言語の壁もあり活用できていなかったが、2022年からオフショア開発拠点の活用を開始したという。