ジャパンディスプレイ(JDI)は10月31日、液晶技術を活用して照明の光の広がり方(配光特性)を自由に制御することを可能とした自由照明「LumiFree」を開発、量産技術を確立したことを発表した。

  • 可変配光スポットライト製品名「R3-T1」

    JDIのLumiFreeを搭載したトキ・コーポレーションの可変配光スポットライト製品名「R3-T1」

同社代表執行役 会長 CEOのスコット キャロン氏は、「2026年に向けた成長戦略『METAGROUWTH 2026』を掲げ、新たなビジネス領域の創出などを目指している。そのための6つの成長ドライバーとして、『次世代OLED(eLEAP)』、『HMO(High Mobility Oxide)』、『メタバース(超高精細ディスプレイ)』、『AutoTech』、『Rælclear(透明ディスプレイ)』、『新技術・新商品・新事業』を掲げており、今回の発表はこの6つ目の新事業に当たる」と今回の取り組みの背景を説明したほか、「LumiFreeは、今までは照明器具は固定してしまえば、配光などを変えることができないかった問題を、変えることができるようにした。固定電話が携帯電話に変わったような、社会的にも大きな意味を持つ技術になると思っている」と、今回の技術の意義を説明する。

  • JDIにおけるLumiFreeの位置づけ

    JDIにおけるLumiFreeの位置づけ

LumiFreeのビジョンは「光を解き放ち、世界をより美しく」で、これまでの照明の設置してしまうと、明るさ(光束)や色味(色度)、光の広がり方(配光)を手軽に変えられないという課題を解決するために開発されたものだとする。具体的には、ディスプレイのバックプレーン技術として、従来のディスプレイのような1つ1つの素子制御ではなく、光の全体制御を実現するための新たな配線設計を行ったほか、フロントプレーン技術として新たな光の制御を行うための新規液晶材料の開発するなど、前工程、後工程ともに新規プロセスや設計などを導入して開発したという。

  • LumiFreeの技術概要

    LumiFreeの技術概要

これにより、縦方向や横方向に対し、照明の配光特性を自在に制御できるようになり、製造後ならびに設置後でも配光特性を自由に制御することが可能となるという。縦方向、横方向に自在に制御できるため、縦長や横長、楕円といった形状の配光特性も実現できるようになるという。

  • 配光設定のイメージ

    配光設定のイメージ

今回、第一弾製品としてトキ・コーポレーションとのコラボレーションを実施。トキ・コーポレーションの可変配光スポットライト製品名「R3-T1」として提供されることが決定したという。またR3はRight light, in the Right place, at the Right timeのRの頭文字から、T1はシリーズとして展開する予定の第1弾製品のために付けられたとする。

R3-T1は屋内用照明で、配光は10~50度、配光種類は1万ほどで、調光も可能(演色性:Ra90以上)で、配光の操作はスマートフォンやタブレットで行うことができるとしている。

  • R3-T1の概要

    R3-T1の概要

なお、JDIではLumiFreeについて、すでに国内向けにサンプル出荷を開始、2023年4月より量産を開始する予定としており、その2023年春から2024年度にかけて、光が変わることに対する価値の最大化の時期とするほか、2025年度をめどに、社会価値の拡大に向けた取り組みを推進、2026年度に100億円規模の売り上げを目指すとしている。

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  • R3-T1のデモ。配光を絞るとクリアな状態だが、配光を広げると、液晶技術により曇りガラスの様になる。光の向きを縦や横にした場合も、それに応じた液晶の配列となる様子が見られる。操作はタブレットにてアナログ的に縦横方向に操作して行う