TISインテックグループのインテックは10月31日、10月16日に行われた富山県総合防災訓練において、自治体向けIoT(Internet of Things:モノのインターネット)プラットフォームとカメラ画像AI(Artificial Intelligence:人工知能)解析を活用して、避難所の混雑検知の実証実験を実施したことを発表した。

自治体向けIoTプラットフォームとは、インテックが開発した、分野横断でデータの共有や活用が可能なデータ連携基盤だ。マルチワイヤレス通信を可能とし、都市OS(Operating System)として標準機能であるFIWAREを搭載している。

  • 実証実験の概要図

    実証実験の概要図

今回の実証においては、ステレオカメラを用いた避難所の出入り人数の検知や、トレイルカメラとAI解析を用いた避難所の混雑度の把握などを行い、さらにそれらのデータを合同調整所(本部)を模した遠隔地からもリアルタイムに検知できるかを検証した。

ステレオカメラによる混雑可視化サービスにあたっては、広域避難所の入口にカメラと解析機器を設置し、避難所入口の出入り数をカウントして混雑状況を表示した。検証の結果、避難者を乗せたバスの到着時刻に合わせてグラフのピークが作られることを確認したという。一方で、スタッフの往来が多く避難者のみを検知することが困難だったようだ。他の課題として、入口ではなく出口として他に開放されていた扉があったため、避難所から出た人数の正確な把握が困難だったという。

  • ステレオカメラを用いた検知の結果

    ステレオカメラを用いた検知の結果

トレイルカメラによる検証においては、避難所2階のバルコニー部分に三脚を設置し、カメラで避難所全体を撮影した。撮影した画像をAI解析して人数をカウントしたところ、AI判定結果と目視結果とがおおむね一致することを確認できた。また、被写体が小さいと判定が困難だったが、条件の設定によって判定結果が改善することが明らかになった。確度向上のためのカメラ台数などはさらなる検討が必要なようだ。

  • トレイルカメラを用いた検知の結果

    トレイルカメラを用いた検知の結果

避難所に設置した機器の状態や解析結果のグラフについて、遠隔地からインターネット通信によりモニタリングを行ったところ、遠隔地の担当者が結果を閲覧できることや避難所の混雑状況を把握できることが明らかになった。さらに、今後の利便性向上として、公開サイトに道路や建物の損傷を書きこめる白地図ホワイトボードのようなレイヤを設けるなど、各機関が迅速に情報連携するための仕組みづくりなども視野に入れているようだ。

  • 解析結果を遠隔地の合同調整所から確認している様子

    解析結果を遠隔地の合同調整所から確認している様子