東京都は10月21日、都内中小企業等が有するVR、AR、AI等の先端技術で社会課題の解決に資する優れたコンテンツ等を選定・評価するビジネスアワード「Tokyo Contents/Solution Business Award 2022」の表彰式を行い、大賞(1社)、優秀賞(2社)、奨励賞(5社)を選出した。
このアワードは都内中小企業等が有する優れたコンテンツ等を評価・選定し、販路開拓を支援することで、東京の社会課題の解決と産業力の強化につなげることを目的に2021年に新設。受賞企業には、賞金の授与のほか、広報支援や出展支援、専門家派遣を実施する。
応募資格は都内に登記(支店登記含む)がある中小企業等、都内税務署へ開業届出をしている個人事業主。募集は、2022年4月18日~5月25日で行われ、26社の応募があったという。
その結果、natのAI測量アプリ「Scanat」が大賞を受賞し、賞金300万円を獲得した。
「Scanat」は、iPhoneに搭載されているLiDARセンサーを利用し、動画撮影するように室内ををスキャンするだけで、3Dモデルの作成、高精度での計測(mm単位)ができる。リフォーム等で室内のあらゆる部分を計測する際に威力を発揮する。一度作成すれば、それを別の業者に送付でき、その業者は好きな部分を指定して寸法や面積を測定できる。
対応機種は、LiDARセンサーを搭載するiPad Pro / iPhone 12 Pro / iPhone 12 Pro Max / iPhone 13 Pro / iPhone 13 Pro Max。利用料は月払9,000円もしくは年払72,000円(税別)。
審査員を務めたIoTNEWS代表 アールジーン 代表取締役 小泉耕二氏は「大賞のScanatは、室内などの対象をスキャンするだけで、簡単に3Dモデルが作れ、かなり精度が良く、操作も簡単だ。現地調査や図面作成を行う住宅業界や建設業を中心に働き方を変えたり、生産性を向上するものと期待している」とコメントした。
優秀賞は、FastLabelのAIの精度を向上するアノテーションプラットフォーム「FastLabel」とRADIUS5のアニメの高解像度リマスタリングを行う「Anime Refiner」が選ばれ、賞金150万円を獲得した。
「FastLabel」はディープラーニングを使ったAIに学習させたいデータを意味づけする作業であるアノテーションの自動化、教師データ作成サービスなど、AI開発に必要なデータ作成から運用まで一気通貫で実現する。
一方の「Anime Refiner」は、高精細なリマスター・4Kアニメ制作が可能なAI技術。独自のAIモデルにより美しくアニメを高解像度化することが可能。4Kテレビの普及や配信サービス の普及に伴い、旧作アニメの再活用が期待できるという。
審査員の小泉耕二氏は「『FastLabel』はAIの教師データの作成から運用までを一気通貫で実現し、より早く精度の高いAI開発を担っている。これは、いまの時代にマッチしており、AI開発の生産性を高めることに寄与すると期待している。また、『Anime Refiner』は独自のAIモデルによって、旧作のアニメを高画質に作り直すことができ、古いアニメがまた観られるようになると思っている」と述べた。
そのほか、優秀賞には、以下の5社が選ばれ、賞金50万円が贈られた。
企業名 | 製品名 | 提供する機能 |
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コネクテッドロボティクス | 非接触型ソフトクリームロボット | 市販のソフトクリームサーバーと連携させ、自動でソフトクリームを作成。教育用に開発されたロボットのため産業用ロボットと比較すると安全性も確保。非接触、人を極力介さず提供 |
シンフォニア | 小型移動式クレーンVR訓練システム | VRゴーグルを装着した上でレバー装置を操作することにより、実機のものと遜色のない操作感で何回でも省スペースで訓練が可能 |
袖縁 | 心のバリアを乗り越えるアプリ「袖縁」 | 障害者や高齢者、ベビーカー利用者などの困りごとに遭遇しやすい要配慮者が手助けを依頼すると、登録している事業者に依頼が届き、手助けを受けられるアプリ。 |
デジタルデザインスタジオ | デザインプロセスのDX化を行う「VR Integrated Solution Service | VR技術でデザインプロセルのDXをワンストップで支援し、コンテンツのリリースまでトータルにプロデュースするソリューションサービスを提供する。 |
ポケット・クエリーズ | カスタムVRトレーニング「iVoRi 360」 | 360度映像でできた空間に遠隔から複数人で入り、コミュニケーションが取れる。研修が行えないような場所や多人数入ることが出来ない現場など時間や場所を問わず研修が行える。 |