Agoopは10月20日、日本赤十字看護大学附属災害救護研究所と共同で避難訓練実施時に人流データを用いた避難状況に関する情報収集を行い、災害時の孤立地域に対する支援の改善を目的に、11月5日に北海道根室市で内閣府が実施する地震・津波防災訓練において、人流データを用いた津波避難状況の把握に関する実証実験を行うと発表した。

今回の実証実験では、避難訓練実施地域の住民へスマートフォン(スマホ)用アプリ「アルコイン」を配布し、同意を得た避難訓練参加者の人流データを収集・分析することで、避難場所の迅速な特定および避難行動・交通状況などを把握する。

収集・分析には、官民研究開発投資拡大プログラム(PRISM)の「官民データ連携による応急対応促進」において、防災科学技術研究所の委託事業として「災害時における人の流れの把握や避難誘導などの効率化のニーズに基づく研究開発」で研究開発したAI(人工知能)技術を使用する。

具体的には、人流のリアルタイム異常検知技術による避難場所の迅速特定、人流データによる避難行動(交通)の事後分析、平常時からの人流データの蓄積・解析による災害時の市民や小型船舶の避難支援の3つの観点から分析する。

  • 人流の異常検知技術のイメージ

  • 2020年7月の豪雨災害での異常検知

人流のリアルタイム異常検知技術は、防災科研の委託事業で開発したものであり、これにより、避難場所の迅速な特定に関する検証を実施する。

  • トンガ噴火発生時における奄美大島での避難行動分析例術のイメージ

  • 津波の発生を想定した浸水エリアの表示

人流データによる避難行動の事後分析では、避難訓練開催時の参加者の人流データと津波発生時の想定津波浸水エリアを重ねて分析することで、避難行動(避難経路や避難時間など)を分析し、実災害発生時に向けた防災シミュレーションに活用するという。

  • ねむろ港まつり花火大会(2022年)での人流分析

  • 小型船舶の海上での人流データ分析

平常時からの人流データの蓄積・解析に関して、今回の実証実験で収集する人流データは、避難訓練時の分析活用に加えて平時からデータ収集を行うことで、例えばイベント開催時の人流・交通分析や、発災時の小型船舶の迅速な位置把握、避難支援などが可能になる。

平常時に交通や観光、保健医療などの分野で人流データを利用することで、災害時には迅速に人流の異常を検知し、救援活動を支援する仕組みの構築を進めるとのことだ。