旭化成とTISは10月18日、サプライチェーン全体で偽造品を減らしていくためのデジタルプラットフォーム「Akliteia(アクリティア)」を構築し、皮革製品・鞄などのアパレル業界に最適化したサービスを本年10月より日本国内で開始したことを発表した。

同プラットフォームは「偽造防止ラベル」「真贋判定デバイス」「ブロックチェーン」の3要素から構成される、真正性の担保と原本性の担保の両方を実現したプラットフォーム。

「偽造防止ラベル」は、旭化成独自の材料と技術を用いて製造された透明なラベルで、サブミクロン解像度の特殊パターン(1ミクロンを下回る細さで描かれた微細なパターン)が印刷されているもの。

この偽造防止ラベルを対象の製品に実装し、製造工場、物流倉庫、小売店舗/EC倉庫など、サプライチェーンの各拠点で旭化成が提供する真贋判定デバイスによりスキャンすることで、各拠点でその製品が真正品であるかどうかを確認できる。これにより、偽造品を排除するとともに、真正品の数量を把握することが可能になるという。

  • 偽造防止ラベルの鞄への実装例(右写真・白丸部分)

さらに、「真贋判定デバイス」のスキャン結果は、TISがブロックチェーンプラットフォーム「Corda」を用いて構築したクラウドサービス「Akliteiaネット」に記録される。

「Akliteiaネット」は、偽造品の発生状況をサプライチェーン全体で確実に共有することで、原本性の担保を可能にし、サプライチェーンのどの段階で偽造品が多く混入されたかなど、被害実態の定量的な把握・可視化を実現するという。また、サプライチェーンの変化に応じて情報の共有範囲を柔軟に変更できるためビジネスプライバシーも確保できる仕組みになっている。

両社は、「Akliteia」について、サプライチェーン上の個品情報を可視化するプラットフォームとして、まずは偽造品問題に対して皮革製品・鞄などのアパレル製品を対象にサービスを開始し、対象業界を順次拡大していきたい考え。また、2023年度には個別の製品の流通状況を把握できるRFID機能付き偽造防止ラベルによる真正品トレースサービスも開始予定になっている。まずは国内で強固なインフラとして育成するとともに、2024年度からは海外でのサービス開始を目指す方針。