leaD=新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、ドライ方式燃焼器を用いた水素ガスタービンの窒素酸化物(NOx)排出量について、法規制の半分となる35ppm以下を達成したと発表した。

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と川崎重工業(川崎重工)は9月29日、NEDOの「水素社会構築技術開発事業」において、川崎重工の水素コージェネレーションシステム(CGS)実証プラント(神戸市ポートアイランド)でのドライ方式燃焼器を用いた水素ガスタービンの窒素酸化物(NOx)排出量について、大気汚染防止法の規制値の半分である35ppm以下を達成したことを発表した。

また、水素・天然ガスの混合燃料に対して幅広い混合率での運転を実現する技術を開発し、その実証運転に成功したことも併せて発表された。

水素は燃焼しても本来は水になるだけだが、ガスタービン方式ではNOxが発生してしまう。一部地域では大気汚染防止法よりも厳しい規制値が設けられているため、NOx排出量が低減できれば、脱硝装置なしでも水素ガスタービンを導入できる地域の拡大につなげると期待されている。

また、水素・天然ガスの混合燃料への対応は、将来的に水素が大量導入されるまでの過渡期において、水素ガスタービンの普及に役立つ技術となることが期待されている。しかし、これらを実現するにはNOx排出量の低減と混焼範囲の拡大を両立させるバーナー形状とその構成の最適化が大きな課題だったという。

そのような背景の下、本格的な水素サプライチェーンの構築に向けた研究開発として、NEDOが取り組んでいるのが水素社会構築技術開発事業であり、2014年度から2025年度まで、足かけ12年にも及ぶ大型事業として進められている。

その一環として川崎重工が取り組んでいるのが、水素ガスタービンに関する技術開発であり、2020年には、同事業のうちの「ドライ低NOx水素専焼ガスタービン技術開発・実証事業」(2019年度~2020年度)にて、水素専焼(水素100%燃料)運転を行う技術実証試験に成功している。

その実現の立役者となった技術が「マイクロミックス燃焼技術」。直径1mm以下の小さな噴射孔から燃料を小分けに噴射し、多数の微小火炎にて燃料を燃焼させる方式で、それを水素ガスタービンの燃焼器に適用し、そしてNOx低減用の水噴射を使わない燃焼方式の「ドライ方式」を採用した上で水素専焼を実現した。

同試験では、2018年に実証を完了し、すでに実用化されている「ウェット方式」(NOx低減用の水噴射を用いる燃焼方式で、混焼への対応も容易だが発電効率の向上が課題)に比べて発電効率を約1ポイント向上させるとともに、NOx排出量も大気汚染防止法の規制値(70ppm:O2=16%換算値)以下とすることに成功。ドライ方式による水素専焼ガスタービンの基盤技術が確立されたとする。

そして現在は、同事業のうちの「水素CGSの地域モデル確立に向けた技術開発・研究」(2021年度~2022年度)において、神戸市ポートアイランドの実証プラントにてドライ方式水素燃焼器の改良が進められているとする。