2018年に創業したクラスは、家具・家電のサブスクリプションサービスを提供している企業だ。“重い・大きい・高い”耐久財を所有することなく、環境の変化に応じて身軽に、自由に使えるという、世界でも類を見ないサービスとなっている。
8月18日に開催されたWebセミナー「流通ニュース×TECH+ セミナー リテールDX ~デジタルシフトで顧客との接点を強化する~」では、クラス 代表取締役社長 久保裕丈氏が「DX時代の事業&マーケティング戦略論 ~競合優位を継続する顧客体験設計~」と題して講演。企業が競合優位性を構築・継続していくためのポイントについて解説した。
直接的な競争相手がいない唯一無二の存在
クラスは2018年8月から家具・家電のサブスクリプションサービス「CLAS」を提供している。サブスクリプションサービスと言えば、一般的に動画や音楽、漫画などのコンテンツを定額制で使いたい放題というイメージが強い。しかし同社の場合、耐久財の循環型PaaSビジネスをサーキュラーエコノミーのプロセスに従って提供している点で大きく異なっている。顧客情報に基づいて提案を行い、顧客情報をアップデートし、カスタマーサクセスを実現するというSaaSライクなサイクルを回すとともに、顧客から返却された製品を完璧にリペア/クリーニングして次の顧客へ提供。これにより、空間価値最大化によるQOL/生産性の向上と“廃棄しない利用”を推進しているのだ。
「弊社サービスのUXは、おそらく日本だけでなくグローバルでも唯一無二の存在だと思います。利用期間に縛りがなく、月額料金のみで送付・返却時の送料も一切不要です※。お客さまが耐久財を利用されるにあたり、非常にフレキシビリティが高いサービスとなっており、直接的な競争相手がいないというのが特徴です」(久保氏)
※ 講演登壇時
耐久財の廃棄量は、全世界で6000万トンにも及ぶ。例えば一般的なキャビネットは、生産から廃棄までに大人約2人分と同等の二酸化炭素排出量があるのだが、そのくらい環境負荷の高いものを廃棄し続けているわけだ。こうした世界的な課題に対しても、同社のサービスは高い評価を受けているという。