3者はそれぞれ役割があり、大気中の低濃度なCO2を高効率で回収できるCO2固体吸収材の性能を向上させる開発を進めているのがRITE。これまでのラボ試験装置では、数cm程度の小型サイズのCO2固体吸収材の評価が行われていたのに対し、今回のDAC小型試験装置では実機で用いるサイズの固体吸収材の評価ができるようになったことから、実用化に即した材料開発が可能となるという。

CO2回収プロセスおよびシステムの開発で、RITEと協力してシステム開発と装置のスケールアップを検討しているほか、高濃縮が可能な「蒸気再生方式」のDAC小型試験装置の設計を担当したのが三菱重工エンジニアリングで、今回開発されたDAC小型試験装置は、蒸気再生方式だが、現在、CO2固体吸収材からCO2を脱離する方法には、蒸気再生方式に加え、さまざまな排熱に対応できる「空気再生方式」の2つがあり、どちらも検討中だという。

今回の取り組みでは、RITEの敷地内(京都府木津川市)に専用の実験棟を整備するとともに、開発されDAC小型試験装置が設置され、評価が開始されたという。

  • DAC小型試験装置の模式図

    DAC小型試験装置の模式図とその専用実験棟(RITE敷地内)の外観 (出所:RITEプレスリリースPDF)

なお、今後、3者は今回開発したDAC小型試験装置を用いて、CO2固体吸収材の評価や装置の大型化・実用化に向けて新たなデータ取得、知見の獲得を進めていくとすると同時に、RITEは評価結果をCO2固体吸収材の開発に反映させるとしており、これらにより、2020年代後半にパイロットスケールのDAC試験装置の設計と経済性評価を実施し、2050年のカーボンニュートラル達成に必要不可欠なDACの開発を加速するとともに、早期社会実装を目指すとしている。

  • 蒸気再生方式の開発状況と今後の展開

    蒸気再生方式の開発状況と今後の展開 (出所:RITEプレスリリースPDF)