IDC Japanは9月15日、国内パブリック・クラウド・サービス市場予測を発表した。これによると、2022年の同市場規模は2021年比29.8%増の2兆1594億円となる見込みだ。

  • 国内パブリック・クラウド・サービス市場の売上額予測 出典: IDC Japan

同市場は2021年~2026年に年間平均成長率(CAGR) 20.8%で推移し、2026年の市場規模は2021年と比べて約2.6倍の4兆2795億円になると同社は予測する。

国内市場では、企業の従来型ITからクラウドへ移行するクラウド・マイグレーションが、対象とするシステム領域/ワークロードを急速に拡大しているという。また多くのユーザー企業が、クラウドの導入/利用促進から高度活用へと、新しい段階へと歩みを進めているとのこと。

この高度活用には、コストの最適化や可用性の強化、生産性の向上などのIT/ビジネスの効率化をもたらす改善と、デジタル・トランスフォーメーション(DX)/データ駆動型ビジネスへと発展させる変革といった目的が含まれるという。

これらの目的を達成するには、新しいツールの導入、新しい技術スキルの習得、企業文化や組織変革など、多様な取り組みが求められており、課題も多く見られるとのこと。

現在、課題の前で立ちすくんだり検討に長い時間をかけたりするのではなく、可能なことから実行に移す企業が増加しており、このことが市場の成長を促進していると同社は見る。

企業のパブリック・クラウド・サービスの利用増加に伴い、高度活用するための手法としてFinOpsの注目度が高まっているという。FinOpsとは、迅速性、拡張性、従量課金、セルフサービスといった、パブリック・クラウド・サービスの特徴に合致した新しい財務管理フレームワーク/プラクティス。

FinOpsでは、クラウドによって変わるIT環境を考慮したコストの管理および最適化に注目しがちだが、ビジネス価値の最大化を目的としたガバナンス強化と、企業文化や組織変革にも取り組むことが重要になっていると同社は指摘する。

同社ITサービスのリサーチディレクターである松本聡氏は、企業がクラウドの高度活用を進める中で、「FinOpsは、ユーザー企業の企業文化や組織変革に影響を与えるため、ベンダーはツールを提供するだけではなく、組織/文化変革支援といったコンサルティングを組み合わせた支援体制の強化が求められている」と述べている。