ビジネスジェット機といえば、HondaJetが真っ先に浮かぶかもしれない。フジビジネスジェットが9月14日に羽田空港で、新たに導入するビジネスジェット機「ダッソー・ファルコン200LXS」と、すでに運用している「セスナ・サイテーションCJ2+」の見学会を実施したので、これら2機の機体をじっくり紹介しよう。

ビジネスジェット機とは

われわれが普通、「飛行機に乗る」というと、エアライン各社が運航している定期便の旅客機が対象となる。誰でも利用できるし、昔と比べれば運賃は低廉になった。しかしあくまで定期便だから、設定されている区間や運航スケジュールに合わせて利用することになる。

普通はそれでも問題ないが、ときには「急いで定期便がない場所に移動したい」というニーズもある。また、ことに芸能関係者や大企業のトップだと、お忍びで急いで移動したいというニーズもあるだろう。近年のコロナ禍に起因して「対人接触をミニマムにしたい」というニーズも考えられる。

そこで、定期便の旅客機よりもずっと小型のジェット機が登場する。俗にビジネスジェット機と呼ばれているものだ。羽田空港や成田空港で外撮りしているときに、この手の機体を見かけた経験がある方もいらっしゃるだろう。主なメーカーは、ダッソー・アビアシオン(仏)、ガルフストリーム(米)、セスナ(米)、ボンバルディア(加)、エンブラエル(伯)、といったあたりで、さらに近年、ホンダ・エアクラフト(米)も加わっている。

ファルコン200LXSは、こんな機体

今回、フジビジネスジェットが公開したファルコン200LXSは、ダッソー・アビアシオンの機体である。能書きは後回しにして、まずはそのファルコン200LXSの機内外を御覧いただこう。

外観

  • 登録記号はJA16AC。フジビジネスジェットは鈴与グループの一員で、機体の登録者として鈴与商事株式会社と鈴与興産株式会社の名前が記されている

  • 乗降用の扉は下ヒンジで、裏側にステップを組み込んだ構造。地上側でステップなどの設備を用意する必要はないわけだ

  • 機体の後部。いわゆるリアエンジンの双発で、エンジンはプラット&ホイットニー製のPW308(推力7,000lb)が2基

  • 右側面には非常口がある(左側面にはない)。機体が小さく、乗る人の数が少ないから、片側にだけあれば用は足りる

コックピット

  • コックピット。正副操縦士席の後方に、もう1席ある。客室乗務員用だろうか

  • もちろんグラスコックピット化されている。さすがに大型の旅客機と比べると狭いが、基本的な計器類の配置は似ているようだ

客室

  • 客室の全景。ただし手前の左右にもう1席ずつある。これで10人乗りとなるが、腰掛をめいっぱい詰めて設置すれば20人は乗れるとのこと

  • 客室の後半分。客室乗務員さんとの比較でお分かりの通り、普通に機内を立って移動できるぐらいの空間がある。後ろ半分は、向かい合わせで4人のボックス席と2人のボックス席

  • こちらは前半分で、左右に2人のボックス席がある。腰掛がレールに載っており、前後の移動が可能になっている様子が見て取れる

  • 座席ごとに個人用モニターの設置が可能。ドリンクホルダーや、リクライニング、レッグレストといった設備もある

  • ファルコン200LXSは長時間のフライトが可能なだけに、機内で食事をとる用意もある。富裕層が利用するのであれば、そうした顧客を満足させられる食事の用意が要るだろう

  • テーブルは壁際に畳んで収納してあり、このように引き出して使用する

  • 小物入れと、その横にイーサネットのコネクタ。その右にあるのが個人用モニターを設置するためのコネクタ。蓋は高級車の灰皿と同じで、単にパカンと開くのではなく、プッシュオープン式

ギャレーとラバトリー

  • 出入口と客室の間にギャレーがある

  • ギャレーの棚に設けられている、グラス類の収納スペース。これだけでゴージャスそうな雰囲気が漂ってくるから不思議

  • 客室の後方にラバトリーがある。右舷側がトイレだが、便器はどこに……?

  • 実は、座席のような形をした蓋を開くと便器が現れる

  • 左舷側は洗面台。撮影者が写ってしまうのでフレームの外に出したが、この上には鏡がある

  • ラバトリーの後方には貨物室がある。ここは左側面に扉があり、外部からアクセス可能

ファルコン200LXSは航続距離が長く、日本からシンガポールやアラスカまで直行できるとのこと。これから国際事業の免許を取得してサービスを開始する計画だという。