文部科学省傘下の科学技術振興機構(JST)は8月24日、2022年度の国際科学オリンピックに関する記者説明会を開催。会見前までに開催された6大会に対する参加報告ならびに、会見翌日より開催された1大会に向けた参加生徒による抱負が語られた。

  • 記者説明会に登壇した井本匡さん(数学)、直井勝己さん(化学)、三田村大凱さん(生物学)、松尾凛太朗さん(情報・引率)、佐藤弘康さん(地理)、北村瑞輝さん(地学)(写真左から順、括弧内は参加教科)

    記者説明会に登壇した井本匡さん(数学)、直井勝己さん(化学)、三田村大凱さん(生物学)、松尾凛太朗さん(情報・引率)、佐藤弘康さん(地理)、北村瑞輝さん(地学)(写真左から順、括弧内は参加教科)

JSTが支援を行う国際科学オリンピック

国際科学オリンピックは、世界各国の中等教育課程の生徒が集う国際科学技術コンテスト。大会は個人戦形式で行われ、成績上位約10%の参加者に金メダル、約20%の参加者に銀メダル、約30%の参加者に銅メダルが授与される。

日本では2004年以降、JSTが数学・化学・生物学・物理・情報・地学・地理の7教科の実施団体を支援しており、国内大会の実施支援、代表選手の選考や研修、代表生徒の派遣支援を行っている。

JSTの大槻肇氏によると、国際科学オリンピックの国内1次選考に参加する生徒数は、コロナ禍以前までは増加傾向にあったといい、2020年には一時的に落ち込んだものの、今年度のデータからも「回復の見込みは立っている」と話した。

2022年度大会は2科目で参加生徒全員が金メダル

2022年度大会は、数学オリンピックがノルウェーのオスロで、生物学オリンピックがアルメニアのエレバンで、国際情報オリンピックがインドネシアのジョグジャカルタで開催され、その他4教科はリモートでの大会実施となった。

各教科の大会結果が報告され、化学と情報の2教科では日本から参加した生徒4名全員が金メダルを獲得するなど、多数の生徒がメダルを獲得した。

  • 2022年度国際化学オリンピック各教科の参加成績(国際地学オリンピックの結果は9月2日発表)

    2022年度国際化学オリンピック各教科の参加成績(国際地学オリンピックの結果は9月2日発表)

「参加したことで見える世界が変わった」との声も

今回の会見では、国際大会に参加した生徒5名の参加報告(うち1名は動画での報告)、大会OBで今大会の生徒引率を担当した学生1名、そして会見翌日からの大会に参加する生徒1名の、7科目それぞれ1名ずつが登壇し、感想や意気込みを語った。

  • 各教科の代表生徒による報告などが行われた

    各教科の代表生徒による報告などが行われた

参加報告の中でどの生徒も語っていたのが、「現地開催のメリット」だった。国際科学オリンピックでは、各教科とも大会期間中に観光や国際交流の時間が設けられ、海外の選手との交流の機会が多かったという。

実際に開催地まで赴き大会に参加した生徒からは、「英語でのコミュニケーションの面白さと重要性を感じた」「参加したことで見える世界が変わった」などの声が上がり、貴重な経験になったことが見受けられた。他方で、リモート開催の大会に参加した生徒たちからは、オンラインでの国際交流の機会があった点や、同じ代表選手たちと密度の濃い時間を過ごせた点を振り返る一方、「現地に行きたかった」などリモートでの開催を残念に感じる声も見られた。

また生徒たちは、今後の進路について「大学での研究」を目指すとし、「研究者としての道に進みたい」との発言も複数見られた。

さらに、国際科学オリンピックに参加したことで生じた意識の変化について、「自分の世界が広がった」との声や、「国際大会に参加したことが自分の中で大きな自信になっている」という言葉も聞こえてきた。

2023年度は2大会が日本で開催予定

記者発表会の最後には、2023年に開催される国際科学オリンピックの中でも、日本で開催される2教科の大会についての説明が行われた。

国際数学オリンピックは、2023年7月2日から13日まで千葉県千葉市にて開催予定。110の国と地域から660人の生徒が参加予定だという。2022年9月1日から応募が開始した同大会の日本代表選考について、大槻氏は「まだまだ間に合うので、挑戦したい生徒にはぜひ応募してほしい」と語った。

また、2023年7月10日から17日の期間では、東京都内にて国際物理オリンピックの開催も予定されている。日本での同大会の開催は初めてとのことで、2022年5月31日に開始した予選を通過した5人が、日本代表として国際大会に参加する予定だという。

  • 日本大会について説明する大槻氏

    日本大会について説明する大槻氏

大槻氏は、日本での国際科学オリンピックの開催について「大会運営においては開催地の高校生や大学生にも協力を依頼するため、大会の熱気を間近で感じることで、科学に対する興味を湧きたてる貴重な機会になる」と話した。