NTTドコモ、AGC、NTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)は9月8日、トヨタ自動車と共同で、建物の窓ガラスに設置したカメラで撮影した車や自転車、人などの移動体の映像を5G(第5世代移動通信システム)通信で伝送し、仮想空間のマップ上に表示する実証実験に成功したことを発表した。

  • 仮想マップの例

    仮想マップの例

近年は、道路情報を仮想マップ上に再現して運転を支援する例があるが、移動体をリアルタイムにマップ上に表示するのは困難だ。今回の実証は、建物などのインフラから移動体の位置情報をリアルタイムかつ正確に把握しデバイス上で可視化することで、こうした課題の解決を目指したという。

実証では、建物の窓ガラスにカメラと5Gガラスアンテナを設置し、撮影した映像を5G通信を介してクラウドサーバー上に送信した。その後に、AI(Artificial Intelligence:人工知能)による動画解析技術を活用し、移動体を判断してそれぞれの位置を高精度に把握し、仮想マップ上への表示を試みた。

具体的には、AGCのガラスアンテナ「WAVEATTOCH」と、ドコモの5G通信、および「docomo MEC(Multi-access Edge Computing)」を使用して、リアルタイムに仮想マップ上に表示し、利用者への送信を行い、実証に成功した。利用者は走行している車中などにおいてさまざまな視点から仮想マップの確認ができ、広範囲な危険情報を事前に予見できるようになったとのことだ。

GPS(Global Positioning System)が届かないようなエリアでも正確な位置情報の把握が可能になると期待され、運転の際の情報をインフラとしてサポート可能となる。また、5Gガラスアンテナを活用することで、カメラなどの設置場所の制約の低減にもつながるとしている。