2025年に大阪府の夢洲(ゆめしま)で開催される大阪・関西万博。日本での国際博覧会開催は、2005年に行われた日本国際博覧会(愛・地球博)以来20年ぶり6回目と注目の集まる同イベント。
同イベントの開催に先立ち、2025年日本国際博覧会協会は9月7日、「未来社会ショーケース事業出展」の協賛企業発表第1弾として、大阪・関西万博における「未来社会ショーケース事業出展」のうち、「大阪・関西万博バーチャル会場」、「来場者向けパーソナルエージェント」、「来場者移動EVバス」の3つの事業の協賛企業について、大阪府内で発表会見を行った。本稿では、その一部始終をお届けしよう。
大阪万博「未来社会ショーケース事業」とは?
初めに登壇した国際博覧会担当大臣の岡田直樹氏は、2025年の万博について「日本の魅力を世界中に伝えるための場であるとともに未来社会の実験場としての価値も作っていきたい」と熱意を込めて伝えた。
この言葉の通り、今回発表が行われた「未来社会ショーケース事業」とは、万博のテーマである「いのち輝く未来社会」を支える技術・サービスを、2025年以降の未来を感じさせる「実証」と2025年の万博にふさわしい「実装」の形で、「未来社会の実験場」となる万博会場の整備、運営、展示、催事などに活用し、国内外の幅広い参加者や来場者に体験として提供する事業群の総称で、今まででは考えられなかったような最先端技術を体験できるようになるのだという。
この未来社会ショーケース事業では、「スマートモビリティ万博」、「デジタル万博」、「バーチャル万博」、「アート万博」、「グリーン万博」、「フューチャーライフ万博」の6つを設定し、各事業について、現在、多くの企業・団体と協賛に向けた協議が進められているという。
まるでSF? 大阪万博で行われる3つの「未来社会の実験」
今回の発表会では、「バーチャル万博」でNTTグループが行う「大阪・関西万博バーチャル会場」と、「デジタル万博」で同じくNTTグループが行う「来場者向けパーソナルエージェント」、そして「スマートモビリティ万博」で関西電力・大阪市高速電気軌道、ダイヘン、大林組の4社が協業して行う「来場者移動EVバス」の3つが発表され、それぞれの事業の概要が説明された。
以下、3つの事業について紹介しよう。
NTTグループ:大阪・関西万博バーチャル会場【バーチャル万博】
最初に紹介されたのは、NTTグループが行う「大阪・関西万博バーチャル会場」。これは、オンライン空間上に3DCGで夢洲会場を再現したバーチャル会場を用意し、ARやVRなどのバーチャル技術を活用したリアルとバーチャルが相互に連動するさまざまな取り組みを展開することで、万博会場の魅力と発信力を高めるというものだ。
NTTの取締役執行役員 新ビジネス推進室長の工藤晶子氏は、「『大阪・関西万博バーチャル会場』は、実際に会場に来たくても来ることができない障がいのある方や、高齢の方、また世界各地に住んでいて距離の問題を抱える方、さまざまな人が参加することができるインクルーシブな万博を実現する事業です」と、この「大阪・関西万博バーチャル会場」が持つ価値を説明していた。
NTTグループ:来場者向けパーソナルエージェント【デジタル万博】
続いて紹介された「来場者向けパーソナルエージェント」は、万博会場内でスマートフォンなどを用いて、各来場者の個人属性や行動履歴・予約情報・位置情報・混雑情報などをもとに、来場者一人ひとりに合わせた施設やルートの案内・レコメンド(モデルルート提案やおすすめ施設の提案)を行う機能。
工藤氏は、このサービスについて「皆さんは外に出るとき、突然の雨などによって急なルート変更を強いられることもあると思います。しかし、この『来場者向けパーソナルエージェント』があれば、未来のトラブルを予知して回避してくれるため、誰もがストレスなく会場内を回遊できるスマート体験を提供することができます」と、来場者の好みや行動の先読みでパーソナライズサービスが実現することを力強く語っていた。
関西電力ら4社:来場者移動EVバス【スマートモビリティ万博】
最後に紹介された関西電力ら4社が協働して実施する「来場者移動EVバス」は、大勢の万博来場者の移動を、よりスマートに、よりクリーンに実現すべく、会場アクセスバスならびに会場内・外周バスについて、EV(電気)バス100台を導入し、運行管理システムと一体となったエネルギーマネジメントシステムを活用した運行と充電を両立する技術実証。さらに、このバスに自動運転レベル4での運行や走行中給電などの新技術も融合させ、世界でも類を見ない大規模な実証を行うことで、次世代のモビリティとその進化を示していく方針だという。
4社を代表して登壇した関西電力取締役代表執行役社長の森望氏は、「今回の大阪万博での実証を終え、その成果を証明することができた暁には、大阪メトロさまと協業してEVバスを実際に導入する実証も予定されており、このEVバスが現実のものになる日も近づいてきています」と、今後の展開と確実に近づいている「未来社会」について説明していた。
約3年後に迫った大阪万博。 最先端のテクノロジーやITを活用した「未来社会」がお目見えする日が待ち遠しい。