業種を問わず、あらゆる企業がテクノロジー企業への変革に最優先で取り組んでいます。具体的には、データ駆動型の経営判断の実現に向けて重点的な取り組みが行われています。この取り組みにおいては、ITシステムの拡張性、柔軟性、コスト削減を達成するため、どの企業も大量のデータをクラウドに移しています。
そして、デジタル変革の取り組みを進める中で、全社に分散したデータに対し、容易なアクセス、管理、信頼性の確保、統制を実現し、かつすべての関係者にデータを簡単に提供することが必要であると気づくのです。
こうした背景の下、データ&分析市場を刷新する新たなテクノロジーとトレンドが数多く出現しています。そこで本稿では、最新のデータ&分析市場の進化に大きく貢献すると考えられる5つのトレンドを紹介します。
(1)データファブリックが分散型エンタープライズの基盤に
デジタルビジネスとオンライン販売チャネルが増え、リモートワークが一般的になると、デバイス、アプリケーション、データインフラから成る複雑で多様なエコシステムが生まれます。
特にデータインフラは、オンプレミス、シングルクラウド、マルチクラウド、ハイブリッドクラウド、あるいはこれらを組み合わせた環境にまたがる場合があります。加えて、国や地域をまたぐ構成も可能です。にもかかわらず、データをすべて統合する単一のソリューションが存在しない場合があります。
2022年、組織はデータファブリックを構築して全社的なデータと分析を推進し、データ統合タスク、データ準備タスク、データ探索タスクの多くを自動化すると予想されます。データファブリックは所在、形式、レイテンシーが異なる分散データ資産を統合します。また、アプローチは論理、物理、ハイブリッドから選択できます。アプローチを選択可能にすることで、納期を短縮し、今後1年で選ばれるデータ管理アプローチとしての地位を確立すると見込まれます。
実際、Forrester社のTEI調査(データ仮想化のTotal Economic Impact Denodo Platform を使用した場合)では、「データファブリックテクノロジーはデータ仮想化をさらに進化させます。その要因は、人工知能・機械学習を用いたデータ管理機能の自動化と、データカタログ、データ準備、データモデリングを通じたさらなるセマンティック機能の提供です」との見解が示されています。
(2)ディシジョンインテリジェンスの導入で、全社的な意思決定をサポート
組織は大量のデータを取得してきましたが、優れたビジネス成果を挙げるには、その情報を活用しなければなりません。そこで、ディシジョンインテリジェンスがあらゆる企業で導入されつつあります。これは、AI/ML駆動型の意思決定支援システムを用いた、通常のダッシュボードとBIプラットフォームの強化が行われているためです。
ディシジョンインテリジェンスでは、AI/MLで強化した通常のBIダッシュボードを組み合わせます。そうすることで、企業は複数のアクションの結果を予測して、その中から適切なアクションを1つ推奨し、意思決定支援システムをサポートできるようになります。
2022年には、ディシジョンインテリジェンスがアセスメントの改善と高速化を実現できる可能性があります。ディシジョンインテリジェンスでは、機械が生成した判断を人間では絶対に不可能な速度で処理できるためです。
ただし、機械はまだ知性を持たないため、判断の結果が何を意味するかは理解できません。そのため、ディシジョンインテリジェンスをBIスタックに統合して結果を継続的に評価し、それに応じてディシジョンパラメータを微調整することで、意図しない結果を防ぐことが必要です。
(3)データメッシュアーキテクチャがさらなる注目を集める
組織の規模と複雑さが増すと、中央のデータチームは幅広い業務部門および関連するデータコンシューマーへの対処を強いられます。その結果、すべての部門横断チームのデータ要件を把握し、適切なデータ製品をコンシューマーに提供することが難しくなります。データメッシュはデータ分析用の新たな分散型データアーキテクチャのアプローチです。その目的はボトルネックを解消し、データの意味を理解している人が、より精密なデータの意思決定を可能とすることにあります。
2022年以降、分散型データ環境を採用した大規模な組織ではデータメッシュアーキテクチャを導入することになるでしょう。大規模な組織を構成する個別の事業部門やドメインはデータの正しい使い方を熟知しています。そのため、各ドメインに自らのデータインフラの定義と実装を任せれば、ビジネスニーズを少ない試行で上手く満たせるのです。
また、中央集権型インフラのボトルネックも解消され、ドメイン特有の条件に最適なツールを各ドメインが自分で選べるようになります。データメッシュが実現する統合インフラを利用すると、各ドメインがデータ製品を作成・共有しつつ、相互運用性、品質、ガバナンス、セキュリティの標準を遵守できるのです。