フォーティネットジャパンは9月2日、2022年7月1日付で社長執行役員に就任した田井祥雅氏による会見を開催した。同氏は同社の事業概況、ビジョン、日本市場での優先課題などについて説明した。
田井氏は、事業の状況について、「グローバルで、小型製品のシェアを伸ばしており、セキュリティアプライアンスの世界総出荷台数のうち3分の1以上のシェアを獲得している。日本に目を向ければ、アプライアンス市場のシェアの50%を超えている。」と述べた。
同社の強みについては、「われわれが他社と違うのは、プロセッサを作り、そこにOSとインテリジェンスを入れることで、効率的にセキュリティを提供している点。汎用CPUはムーアの法則に従って進化しているが、メットワークの進化は半年で倍になり、汎用CPUではネットワークのセキュリティを保つことは難しい」と、田井氏は説明した。
また昨今、働き方の変化、OTとITの統合、オンプレミスとクラウドの連携、複数のクラウドサービスの活用など、さまざまな分野で「ハイブリッド」の世界が繰り広げられている。田井氏は、こうしたハイブリッドの世界においては、どこに人がいようが、アプリケーションがいようが、安全なアクセスを実現する「ゼロトラストセキュリティ」が必要であり、同社は「超ハイブリッド時代のゼロトラストを目指す」と訴えた。
田井氏は超ハイブリッド時代に向けて、ゼロトラストセキュリティと共に提供しているものとして、「Fortinet Security Fabric」を紹介した。これは、サイバーセキュリティメッシュアーキテクチャ(CSMA:Cybersecurity Mesh Architecture)に対応したサイバーセキュリティメッシュプラットフォームだ。「Broad」「Integrated(統合化」「Automated(自動化)」を特徴としている。
「これまでのように、SIEM(Security Information and Event Management)に情報を集めて解析すると、時間がかかってしまう。今のセキュリティにおいては、いかに脅威を早く見つけるか、つまり時間が重要となっている。われわれはサイバーセキュリティメッシュプラットフォームによって迅速に対応するために、M&Aを実施している。技術を持っている会社に投資をすることで、その技術をわれわれのOSやASICに入れ込んでいく。そして、投資に加えて、オープンエコシステムも拡大していく」(田井氏)
続いて、田井氏は事業戦略について説明した。まず、グローバル市場においては、「ネットワークファイアウォール」「SD-WAN」「OTセキュリティ」に注力する。
さらに、日本市場では、「顧客との関係強化」「OTセキュリティの推進」「サービスビジネスの強化」を優先課題と位置づけ、取り組むという。
「顧客との関係強化」については、年に2回、顧客が交流するイベント「Fortinet Executive Forum」を開催するとともに、「Japan Executive Briefing Center」などの情報交換会、本社エグゼクティブとの交流の機会を設ける。
「OTセキュリティの推進」に関しては、イベント「Secure OT Summit 2022」を開催するほか、「OTセキュリティ アセスメント サービス」を提供する。同サービスは経済産業省による「工場システムにおけるサイバー・フィジカル・セキュリティ対策ガイドライン」に準拠しており、Web 簡易診断ツールと有償アセスメントを提供している。
「サービスビジネスの強化」については、デジタルリスク保護サービス「FortiRecon」、クラウドベースのセキュアリモートアクセスソリューション「FortiSASE」、クラウドネイティブの保護プラットフォーム「FortiCNP」、脅威インテリジェンスサービス「FortiGuard」に注力する。